初期研修プログラム
信州大学卒業後臨床研修プログラムについて
本研修プログラムは、卒後臨床研修プログラム選択研修の脳神経外科カリキュラム(3ヶ月)です。本プログラムは、1週間のオリエンテーションの後、脳神経外科の基本的な知識と技術を研修し、また、救急患者の的確な病態把握と初期治療を研修します。研修終了時に脳血管障害、頭部外傷および脳腫瘍疾患を鑑別診断し、適切な初期治療を行うことを目標とします。
また、卒後臨床研修終了後、脳神経外科専門医を目指す医師は、当科の脳神経外科研修プログラム(4年間)の研修を行うことで、専門医受験資格を得ることができます。研修医時に日本脳神経外科学会に所属していなくても、3年目から入会すれば卒後7年目に受験できます。
信州大学医学部附属病院 卒後初期臨床研修センターへ
研修詳細
Ⅰ 一般目標(GIO: General Instructional Objectives)
1.脳血管障害、頭部外傷および脳腫瘍の救急医療を研修する
脳血管障害および頭部外傷疾患に関して、的確に鑑別診断し、初期治療を行うための研修を行う。また、緊急を要する重症例に対しては初期救急治療ができるように研修を行う(BLS/ACLSを含む)。症例があれば、脊髄血管障害および脊髄外傷においても研修を行う。
2.意識障害患者の救急医療を研修する
1と同様に、意識障害に関して的確に鑑別診断し、初期治療を行うための研修を行う。
3.脳血管障害、頭部外傷および脳腫瘍患者のプライマリケアを研修する
4.脳血管障害、頭部外傷および脳腫瘍疾患に対する治療に必要な基本的知識の習得を研修する
Ⅱ 行動目標(SBO: Specific Behavior Objectives
1.経験すべき診察法・検査・手技
■基本的脳神経外科診療能力
① 問診および病歴の記載
患者との間に良いコミュニケーションを保って問診を行い,総合的かつ全人的に patient profile をとらえることができるようになる。
病歴の記載は問題解決志向型病歴(POMR: Problem Oriented Medical Record)を作るように工夫する。
ア) 主訴 イ) 現病歴 ウ)既往歴 エ)家族歴
②脳神経外科診察法
脳神経外科診療に必要な基本的態度、技能を身につける。
ア)バイタルサイン イ)意識状態の把握 ウ)頭頸部の診察 エ)神経学的検査
■基本的脳神経外科臨床検査
脳神経外科診療に必要な種々の検査を実施あるいは依頼し,結果を評価して患者・家族にわかりやすく説明することができる。それぞれの病態で禁忌である検査法,避けた方が望ましい検査法があることを十分に理解する。
① 髄液検査
② 神経放射線学的検査
ア)単純X線検査 (a) イ) X線CT検査 (a) ウ)MRI検査 エ)脳血管造影検査 オ)神経生理学的検査
(a):自ら実施し、結果を解釈できる。 (a)以外:検査の適応が判断でき、結果の解釈ができる。
■基本的治療法
①処方箋の発行
ア) 薬剤の選択と薬用量 イ) 投与上の安全性
② 注射の施行
皮内,皮下,筋肉,静脈,中心静脈
③ 副作用の評価ならびに対応
④ 療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む)
⑤ 基本的手技
気道確保、人工呼吸、心マッサージ、ドレーン・チューブ類の管理、創部消毒とガーゼ交換、皮膚縫合などが実施できる。
2.経験すべき症状・病態・疾患
■頻度の高い症状
① 頭痛* ② めまい* ③ 四肢のしびれ* ④ 歩行障害 ⑤ 痙攣発作
*自ら症例を経験,すなわち診察し鑑別診断してレポートを提出する。
■緊急を要する症状・病態
① 意識障害** ② 脳血管障害** ③ 外傷**
**自ら経験,すなわち初期診療に参加すること。
C) 経験が求められる疾患・病態 (理解しなければならない基本的知識を含む)
① 脳・脊髄血管障害 ② 頭部・脊髄外傷 ③ 痴呆性疾患 ④ 変性疾患 ⑤ 脳炎・髄膜炎
3.脳神経外科研修項目(SBOのBの項目)の経験優先順位
■脳神経外科研修3ヶ月において
①経験優先順位第1位(最優先)項目
ア) 脳血管障害の検査・診断、初期治療の管理
イ) 頭部外傷の検査・診断、初期治療の管理
ウ) 脳腫瘍の検査・診断、初期治療の管理
→ 外来診療もしくは受け持ち医として合計10例以上を経験し,うち1例についてレポートを提出する。
→ 必要な検査(神経放射線学的検査)についてはできるだけ自ら実施し診療に活用する。
② 経験優先順位第2位項目
ア) 脊髄血管障害の検査・診断、治療計画の立案
イ) 脊髄外傷の検査・診断、治療計画の立案
→ 受け持ち患者として症例があれば積極的に経験する。
③ 経験優先順位第3位項目
ア) 痴呆性疾患の検査・診断
イ) 変性疾患の検査・診断
ウ) 脳炎・髄膜炎の検査・診断
→ 機会があれば積極的に初期診療に参加し,できるだけレポートにまとめる。
■3年目から7年目までの研修について
後期研修プログラムはこちらをご覧ください。
Ⅲ 指導医条件(研修医に対する研修・カリキュラムの質の保証を明示します。)
1) 指導医資格
10年以上の脳神経外科臨床経験を有する、日本脳神経外科学会認定専門医であること。
2) 指導施設資格
上記の資格を見たす指導医が2人以上勤務し,うち1名は15年以上の臨床経験があること。
3) 指導医1人に対する研修医数
原則として1人までとする。
研修スケジュール
午前 | 午後 | 夕 | |
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月 | 術前カンファレンス、手術 | 手術 | |
火 | 教授回診、血管内手術 | 脳血管撮影 | 放射線読影、治療検討会(隔週) |
水 | 術前カンファレンス、手術 | 手術 | |
木 | 抄読会、血管内手術 | カンファレンス | 教授回診 |
金 | 術前カンファレンス、外来カンファレンス、抄読会、手術 | 手術 |
※研修方法・指導体制
・日常の指導には4年目以上の医師があたり、指導評価は助教以上の指導医があたります。
・重傷緊急入院患者の対処一般およびこれらの患者の治療を習得するために当直研修を実施します。
月4回程度の予定です。
・脳神経外科一般病院の当直助手の研修も可能です。