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第3回ワークショップ

1. 学部・附属共同研究の成果

学部・附属共同研究は、「学部教員の基礎的・理論的な研究成果と附属教員の応用的・実践的な研究成果とを効果的に補完し合い、相互の存在意義を高め、信州大学のみならず延いては我が国全体の教育向上のために資するとともに研究体制の改善を図る。」という目的の下、平成 12 年度に発足した。その後今日まで着実に歩みを進め、その成果は年次報告書の形で蓄積され、新たな発展も見られるようになってきた。
成果の最大のものは、学部の教員と附属の教員とが研究の場を共有して継続的に連携することで、互いに信頼関係を醸成し、これまで以上に学部・附属相互の存在意義を認め、協力関係を一層高めていこうとする意識が顕在化してきたことである。すなわち、学部・附属双方の教員の協力者としての相手に対する意識変化と意識改革が従前に比べ進んだといえる。
そうした意識改革を支える状況、あるいはそれを足がかりとする具体的な成果としては、次のようなことが挙げられる。

(1)共同研究の報告書が毎年1冊ずつ、計6冊が継続的に刊行された。

(2)附属学校園の正副校園長会の管轄の下、共同研究推進のための制度的な骨格ができあがった。

(3)大学全体の「中期計画」の中に、「附属学校園に関する目標」の一つとして「大学・学部との連携・協力の強化」という項目で明確に位置づけられた。

(4)共同研究のありかたとして、教科等のまとまりを中心とする部門ごとの研究・報告だけでなく、個人的な連携や協力を基盤とする共同研究が生まれつつある。

2. 学部・附属共同研究の抱える課題

1. で述べたように、発足以来多くの試行錯誤や進展への意欲に支えられ、着実な成果を上げてきた学部・附属の共同研究ではあるが、その反面で学部・附属を取り巻く状況の変化や長期間の継続等による問題が生じ、新たな課題も生じた。
こうした問題や課題としては、次のようなことが挙げられる。

(1)教科等を中心とする部門別の共同研究という同一形式での継続により、形式的マンネリ化や内容の形骸化が始まった。

(2)「中期計画」の実質化・発展的展開が求められているが、その裏付けとなる学部と附属の連携・協力にかかわる組織体制が未整備であったり、十分に機能していないものがある。

(3)日常的な交流、個人的な連携・共同研究を進める上で障害となる条件、例えば法人化に伴う附属教員の勤務条件が一層厳しくなったこと、交流の機会が少ないことなど、解決すべき条件が多くある。

(4)附属教員の短期間による移動とともに近年の大学教員の大幅な入れ替わりにより、改めて人間関係や共同研究への理解を進める必要性が生じてきている。

(5)個人的な連携や協力の実現、あるいは研究対象の専門化をめざすあまり、研究部門が多くなり、メンバー不足で成立できない部門もできてきた。

(6)大学全体の予算が削減されるという流れの中で、報告冊子刊行のための学長裁量経費が打ち切られるなど、経済的にも苦しくなった。

こうした新たな問題・課題だけでなく、先に「学部・附属双方の教員の相手に対する意識変化と意識改革がかなり進んだ」と書いたが、相互の意識の行き違いなどもまだまだ多く、共同研究の歩みを鈍らせる古い意識も根強いものがある。

3. 学部・附属共同研究のこれから

以上のような現状を踏まえ、学部と附属とがより一層の連携・協力を実現するためには、大局的な見地に立って中期計画や将来像を掲げるとともに、地道ではあるが具体的な教育実践を通した日常的な共同研究を充実させ積み上げていくことが必要である。幸い、平成 17 ・ 18 年度の2年間にわたり「臨床の知」をキーワードとする本学部の教育臨床GPが認められ、学部の研究・教育の重点がより教育実践に向かいはじめたことにより、学部・附属の教育実践を通した共同研究の日常化を進める環境が整いつつある。こうした好機をとらえ、初心に返り、新しい共同のあり方を探ることが、今求められている。

そうした認識に立って、平成 18 年度の学部・附属共同研究は、学部・附属双方の教員が相手に対する本音を語り合うことで学部・附属間の交流・協力・連携をもう一度見直すことから出発した。具体的には、学部の教員と附属の教員との誰もが、自らのかかわりや体験を踏まえ具体を通して語り合うことのできる「教育実習を通して共同研究を考える」を全体テーマとして設定した。そして、それを切り口としながら、「臨床の知」を磨き高めることにつながる共同研究のあり方を探ってみたいと考えた。教育実習をテーマに取り上げたのは、教員の誰もが話し合いの糸口にできるだけでなく、「教員養成」という本学部の理念を実現し、教育研究を充実させる上でも重要なものであるからである。学部・附属の共同研究を身近なものとして日常化していくためには、こうした誰もがかかわり、学部・附属の本務と位置づけられる事柄を話題・切り口として研究のありようを探っていくことが大切であろう。

平成 18 年 5 月 10 日に開かれた本年度の共同研究の立ち上げの会では、午前中は学部教員を中心に附属との関係について話し合われ、午後には附属学校園から提言がなされた。当日出された意見や課題のうち、これからの学部・附属の共同研究を発展させるために考えなければならない主なものを挙げれば、次のようである。

○ 学部・附属共同研究を支援するための十分なサービス機能の構築が課題として残されている。その1つの対応策としては、平成15年度から、附属長野中学校における授業を音楽・美術・体育の学部教員が講座として支援しながら、共同研究につながるように心がけている。こうしたことをどこまで他の附属校園・教科に広げていくことができるか。

○ 学部から附属校園への上意下達式の一方通行ではない、対等な研究者としての関係の上に立った共同研究を築き上げるためにはどうすればよいかを考えなければならない。

○ 学部教員がこれまで行ってきた研究、附属教員が校園を挙げて取り組んでいる研究や個人的に関心を寄せる研究、などを、限られた時間の中でどうかかわらせ、互いに益するものとするためには、どのようにすればよいか。

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