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大串 潤児

歴史学 教授

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大阪紀行-09年・春合宿

大阪紀行-09年・春合宿

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2009年2月8日、JR森ノ宮駅に集合し、日本近現代史ゼミ・春合宿のスタートです。今回の合宿は、1)市民運動のなかから生まれた戦争博物館として の「ピースおおさか」見学、その展示を通じて大阪空襲および戦争展示のあり方を考える、2)「阪神モダニズムと戦争」というテーマでいくつかの報告・討論 を行い、さらにせっかくなので実際に漫才・寄席を見てみる、ことが目的です。

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大阪城公園・森ノ宮方面からさあ出発。

まずは、「大阪国際平和センター ピースおおさか」に向かいます。よく知られているように、この博物館は、大阪空襲の展示を1つの柱とし、同時に アジア諸国への「加害」の事実を中心に叙述した15年戦争史の展示がもう1つの柱となります。さらに、在日韓国・朝鮮人が多く住むこの地域・大阪を意識 し、植民地支配の問題を重視している展示です。充実した「展示のてびき」もあり、大阪空襲への理解を深めることができたと思います。
また、私たちが訪れた時には、特別展として「「満州国」とシベリア抑留」が開催されていました。こちらは旅順の日露戦争記念碑や、「満州事変」記念の碑を撮影した観光絵はがきが印象的でした。観光写真に映える「モダンな戦争」、もっとつめなければならないテーマです。

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「ピースおおさか」見学、市民の描いた大阪空襲の絵を見る。

「ピ-スおおさか」を後にし、すでに梅もほころぶ大阪城天守閣周辺を散策しました。途中には、1931(昭和6)年完成の陸軍第四師団司令部(旧大阪市立博物館)があります。

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旧陸軍第四師団司令部。


夕暮れが近づいてきます。さあ、宿へ急ぎましょう。今回の宿泊先は堺筋・日本橋と宗右衛門町の角にある大和屋本店です。道頓堀の青い灯・赤い灯、部屋の窓からは道頓堀の水面が見えます。

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夜のゼミナールでは、「戦時下(1930年代)の「お笑い」」、「宝塚歌劇と生演奏-宝塚交響楽団を中心に」の2つの報告が行われ、戦時下の文化について、方法論もふくめた活発な討論が行われました。
明日は、「なんばグランド花月」です。人びと(つまり私たち)は、娯楽=笑いに何を求めているのでしょうか?この夜は、印象的な議論でした。余興もたいへんな盛り上がりでした。

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誰?                        恒例の余興・素人演芸会。

2009年2月9日、遅めの朝、道頓堀-戎橋筋を通って「なんば」に向かいます。

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なんばグランド花月。

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寄席観劇・記念撮影。

11:00開演、14:00終演までたっぷりと上方の「笑い」を堪能しました。続いて演芸関係の博物館、「大阪府立上方演芸資料館 ワッハ上方」を見 学。あとは思い思いの場所へと自由行動です。遠出をして宝塚に行く人、心斎橋筋を「ぶらつく」人、私は学生さんと金沢に引き続き、真田山にある旧陸軍墓地 を訪ねました。現存するものでは最大の墓地であるだけに、金沢の野田山墓地と比較して、その大きさや埋葬されている方の対象の広さを実感しました。

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真田山陸軍墓地。

この日の夜、旧友・山口公一さんを招いて食事会を行いました。とても楽しい会でした。夜半から雨になり、田辺聖子『道頓堀の雨に別れて以来な り』(中央公論社)の世界が、ふと目の前に現れたように思いました。民衆史は、ながく「川柳」について無頓着であったのでは、などと酔狂な発想も頭をよぎ ります。

2009年2月10日、薄曇りの大阪です。風も少し肌寒い日でした。揃って、国立国際美術館に向かいます。企画展「アヴァンギャルド・チャイナ- 〈中国当代美術〉二十年」および「新国誠一の《具体詩》 詩と美術のあいだに」を鑑賞しました。ここで合宿は解散です。展覧会の感想などはまたの機会に。
昼下がりのやわらかい日差しのなか、新大阪から帰途に就きました。今回も充実した合宿でした。

※合宿の事務関係についてはゼミ長・北澤賢悟さん、清水竜太さん、北山春香さん(会計)にお世話になりました。また、演芸会関係の手配もありがとうございます。

※後日(09年3月)、小田康徳ほか編著『陸軍墓地が語る日本の戦争』(ミネルヴァ書房、2006年)を読み、勉強させてもらいました。

 

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