国立歴史民俗博物館の調査を終えて、０７年３月７日、1２：３０、横須賀中央駅で学生たちと待ち合わせをしました。
今回のゼミ合宿の目的は、（１）「軍隊と地域社会」という観点から横須賀という都市の現在と過去を実地に見学する、（２）浦賀ドックを見学し、あわせて 三浦半島の町場の様子を知る、（３）卒業論文に関係する勉強会を行う、といった点にあります。神奈川県歴史教育者協議会編『神奈川県の戦争遺跡』（大月書 店1996）が役にたちました。また、企画段階よりお世話になった横須賀市役所・横須賀平和委員会・浦賀文化史サークル・松代大本営の保存をすすめる会の 皆様に御礼申し上げます。
では出発。
京浜急行にのって安針塚下車。駅前で横須賀平和委員会の石沢さんと待ち合わせて横須賀米基地が見える高台の公園へ。（１）横須賀米軍基地の現状、（２） とくに原子力空母寄港問題をめぐる横須賀市民の姿勢、（３）軍港のまち・横須賀の歴史、などについてお話ししていただきました。
横須賀基地を前にしての石沢さんの解説。
横須賀基地遠望。
石沢さんと別れて（どうもありがとうございました！）、横須賀市街に戻り、三笠公園をとおって、１５：３０の船便で猿島へ。
記念館「三笠」。 猿島遠望。
猿島には幕末に台場が構築され、以後、東京湾要塞の一環を構成していました。１９３６年には高角砲座も設置されています。フランス式につみあげられたレンガ造りの兵舎や弾薬庫・トンネルなどが残っています。
猿島・島内。 砲座跡。
１７：３０、レンタカーを手配して横須賀を出発。三浦海岸の民宿「しろべ荘」に１泊。まぐろの「かぶとやき」をみんなでいただきました。夕食後、兵士論についての報告、勉強会。
３月８日、風がふくと少し寒いけれどもよい天気になりました。クルマで昨日きたコースを逆に浦賀方面に向かう。２００３年３月に閉鎖された住友重機㈱の工場・ドライドック（船体修理用）の見学、横須賀市役所都市計画部、亀井さんの案内で見学。
住友重機㈱浦賀ドックは、１８９７年、榎本武揚らが発起人となって設立した浦賀船渠㈱のドライドック。壁面レンガ造りのドライドックとしては貴重な近代 遺産です。船の部品・機械の修理工場ともあわせて見学をすることが出来ました。横須賀市では、このドックを中心に、エコミュージアム構想を計画しているそ うです。
ドックの使い方などについてのわかりやすい亀井さんのお話し。
ドック海側上部から。 ドック底部。
１１：３０頃、浦賀を出発。住友重機㈱のまえには大きな浦賀生協のスーパー。浦賀の湾の周囲は、造船・修理・ドック関連企業でうめつくされており、「企 業城下町」浦賀という雰囲気（現在は住友重機㈱はこの地域からは撤退）。東浦賀の岸壁沿いには護衛艦修理のための兵器工業もあったとか。
久里浜に向かい、自衛隊久里浜駐屯地を左に見てペリー公園に。
久里浜のペリー上陸記念碑を見学。
１９０１年７月１４日（ペリー上陸の新暦換算日）、除幕式が行われ、碑文は伊藤博文の手になるものです。
今日の宿・江ノ島内・海上亭に向かう。途中、鎌倉で昼食。偶然にも愛知県立大学中世史の上川通夫さんと出会って、盛り上がりました。釈迦堂の切り通しを見学して、自由時間。
１７：３０頃の江ノ電で江ノ島に向かいました。湘南の海の夕日が沈むさまを見ながらの江ノ島行きでした。
夕食後に勉強会。横須賀も素材にした戦後日本のポピュラー音楽についての報告。その後は、コンパです。
勉強会１日目。 勉強会２日目。
３月９日。薄曇りでしたが、時々日が差す天気。せっかくの鎌倉旅行なので、江ノ電・長谷駅で下車。高徳院「鎌倉 露座の大仏」を観光。少し歩い て、鎌倉文学館の企画展「貸本屋 鎌倉文庫とその時代」を見学。久米正雄ら文学者を中心とした文化運動（「鎌倉ペンクラブ」「鎌倉文庫」「鎌倉アカデミ ア」）に関連する充実した企画展でした。
１２：００、鎌倉駅で解散。みんな無事に帰宅したそうです。少し寒かったけれども、充実した早春の横須賀・鎌倉合宿でした。