研究内容

(A)担子菌の子実体形成機構の解明および宿主−ベクター系の開発
 担子菌キノコは,食品・医薬品産業上重要であるが,カビ状の菌糸から子実体へと劇的な変化をするため形態形成の見地からも興味深い生物である.また,n+nの 核相(二核.2nで はない)である期間が生活環のかなりの部分を占めることから,単細胞微生物や動植物を研究対象にしていては,発見し得ない画期的な新知見を期待できる.当 研究室では食用担子菌エノキタケと非食用担子菌ではあるが遺伝的解析,子実体形成実験の容易なスエヒロタケとを用いて研究を行なっている.
 具体的テーマ:
  ・スエヒロタケの性生長(交配および子実体形成)の分子機序の解明
  ・エノキタケおよびスエヒロタケの子実体形成に関わるタンパク質/酵素および遺伝子の解析
  ・担子菌分子育種のための担子菌ベクターの開発

(B)微生物殺虫剤の開発に関する研究
 グラム陽性菌Bacillus thuringiensisBt)は,農業・衛生害虫に対して毒性を有する結晶性菌体 内顆粒を生産することから微生物殺虫剤として用いられている.また最近では,Bt殺虫性タンパク質遺伝子が,遺伝子組換え作物作出にも用い られている.当研究室では,Btの殺虫性タンパク質および同遺伝子の安全かつ有効な利用を目指して研究を進めている.
 具体的テーマ:
  ・Btの殺虫力を支配する高分子プラスミドDNAの遺伝子構成の解析
  ・Btの殺虫性タンパク質安定化機構の解明と応用

(C)新規有用微生物の探索
 パスツールによって純粋培養技術が確立されて以来100年以上にわたって,微生物の研究は,・培地を熱殺菌する,・純粋培養できる,・裸眼で確認できる コロニーを採取する,を基本として行われてきた.しかしながら,土壌中の微生物の99%以上はこのような方法によっては分離できない.これら未知微生物を 応用微生物学の枠に入れるための微生物分離法を開発し,培養不可能とされた微生物を培養する.
 具体的テーマ:
  ・培養困難な土壌微生物の分離
  ・培養困難な土壌微生物の培養法の確立

(D)アミノ酸生産菌の遺伝育種
 アミノ酸発酵は我が国で発明され工業化された産業である.従来,アミノ酸生産菌は栄養要求株あるいは代謝調節変異株を中心に遺伝育種されてきた.我々 は,リプレッション解除,膜透過性変異など未だ利用されてこなかった性質に注目し,これらをアミノ酸生産菌の遺伝育種に応用する.
 具体的テーマ:
  ・Corynebacterium glutamicumのリジンアナログ耐性変異株の
   作出と耐性機構の解析
  ・大腸菌のリジンアナログ耐性変異遺伝子のクローニング

【キーワード】遺伝子,タンパク質/酵素,生理活性物質,環境微生物,担子菌キノコ,微生物殺虫剤,新規微生物の単離,有用物質生産,アミノ酸発酵,細胞 機能の発現制御,遺伝子組換え,微生物利用,形態形成,シグナル伝達



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