ラーニング・コモンズ対応の中央図書館リニューアルオープン!特別レポート

中央図書館リニューアルオープン

 平成25年秋より行っていた改修・増築工事が終了し、信州大学中央図書館(松本キャンパス)が、平成27年6月1日、リニューアルオープンの日を迎えた。
 オープンにあたり、来賓、大学、図書館関係者など約80名の出席のもと、リニューアル式典を開催。山沢清人学長、館長である笹本正治副学長、文部科学省研究振興局参事官(情報担当)榎本剛氏、信州大学学生自治会松尾裕汰さんがあいさつし、学生の学びと学術研究の発展に寄与する、図書館の新たな役割と可能性への期待を述べた。中央図書館は、平成25年9月~平成26年3月に耐震改修工事を行い、平成26年5月から約1年間かけ、旧来の南棟のさらに南側に増築棟を建設。面積は6392㎡と従来の約1.4倍の広さとなり、閲覧席は100席近く増え、スロープを設置するなどバリアフリーにも対応した。
 1階には飲食もできる自由学習スペース、2階には「ラーニング・コモンズ」として利用できるよう、共同学習スペースや自由に配置を変えられる閲覧席を設けると共に、パソコンなどの情報通信環境も整った開放的な学習の場となっている。3階にはパソコンの利用を制限する「サイレントゾーン」を設け、様々な学習形態や利用者の希望に対応するため、多様な環境を整備した。また、2階には市民講座なども利用可能なセミナー室も備えており、従来以上に一般市民の利用も促していく。
 また、親族の方々からご厚意によって提供された、旧制松本高等学校(信州大学の前身校のひとつ)のOBで作家の北杜夫さんの蔵書(北杜夫文庫)や、同じく旧制松高のOBで、豊富な山岳関連書籍を有す小谷隆一氏のコレクション(小谷コレクション)など、貴重な資料や書籍を保存する特別資料室も設けた。
 さらに、1階、自由学習スペース横の「展示・地域交流コーナー」には、信州大学が所蔵する文化資産や工芸品、北杜夫さんの蔵書の一部、松本民芸家具や安曇野市から寄贈された天蚕を利用した織物などを展示。地域との繋がりや信州大学と所縁の深い著名人について触れて貰う空間となっている。
 大学図書館は、学生にとっての総合的学習スペースというだけでなく、貴重な文化資産の継承と学術研究の発展を担う場だ。中央図書館は、その役割・機能を存分に果たしながら、地域との交流を深め、より広く開かれた図書館サービスの量的・質的拡充を進めていく。

   
(文・柳澤 愛由)
・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」」第94号(2015.7.31発行)より

貴重な文化資産の継承と学術研究の発展を担う

テープカット

6月1日、リニューアル式典には多くの来賓や大学・図書館関係者が出席し、中央図書館の新たな門出を祝った

碌山氏のブロンズ像

オープニングのみの特別展示、安曇野市出身の彫刻家である荻原守衛(碌山)氏のブロンズ像「坑夫」。長野県と所縁の深い彫刻家・画家・教育者であった石井鶴三氏が、碌山を高く評価し、その顕彰を進めた。信州大学が所蔵する「石井鶴三の作品及び関連資料」の一部も「展示・地域交流コーナー」で見ることが出来る



北杜夫さんの本


提供頂いた北杜夫さんの蔵書、貴重なサイン本、初版本などは北杜夫文庫として特別資料室で保管する




知新堂からいただいた花瓶


中央図書館リニューアルにあたり、松本市の老舗陶器店「知新堂」から寄贈された花瓶。下の花台は大町市から寄贈されたもの




2階はラーニングコモンズ機能を強化


2階は、図書や印刷物だけでなく電子媒体など様々な情報を活用した学習の場を提供する「ラーニング・コモンズ」としての機能を強化。多様な学習スタイルに対応する




自由学習スペース


1階、自由学習スペースでは飲食も可能。一般市民も気軽に使える空間として利用できる





文化財も展示


周辺地域の工芸品のほか、松本市出身の書家・上條信山氏の書など、大学所蔵の貴重な文化財なども展示。地域との繋がりを感じて貰うと共に、大学所蔵の資産を公開することで、より地域に開かれた大学図書館を目指す




小谷コレクション


旧制松本高等学校OBで、在学中から北杜夫さんとも親交のあった小谷隆一氏の豊富な山岳書籍を有す小谷コレクションや、これまで大学が所蔵していた旧制松高時代の絵画などの美術品も特別資料室に保管。普段自由に立ち入ることは出来ないが、大学の貴重な資産として、管理・継承していく



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外装には長野県産スギを利用したルーバー(板をブラインドのように斜めに並べたもの。遮光などに使用される)が象徴的に配され、近代的な建物の無機質な印象を和らげている


「北杜夫文庫」を創設。 感謝状贈呈式及び記念講演会を開催!

長女斎藤由香さんの講演会

長女斎藤由香さんの講演会

 『楡家の人々』や「どくとるマンボウ」シリーズなどユーモアあふれる作品で知られる作家・北杜夫さん(本名:斎藤宗吉、1927~2011年)の蔵書のうち約600冊が、夫人の斎藤喜美子さん、長女の斎藤由香さんのご厚意により、信州大学附属図書館に寄贈された。附属図書館ではこれを記念して「北杜夫文庫」を創設するとともに、7月12日、感謝状贈呈式及び記念講演会を開催した。
 北杜夫さんは、信州大学の前身である旧制松本高等学校の出身。寄贈本の中には、北さんの学生時代から晩年に至るまでの多彩な作品を含む出版物、松高の先輩である辻邦生をはじめ、親しい交流のあった著名作家によるサイン入り本、北さんがアルプスを描いた水彩画や松高時代に使用していた参考書などが含まれる。これらは、生前に多くの蔵書を処分してしまった北さんが最後まで大切に思い、つい先日まで実家の本棚に置かれていたものである。さらに式典の当日、北さんが松高時代の経験を綴った『どくとるマンボウ青春記』の本人サイン入り本、北さんが自宅で愛聴していたという松高寮歌集のテープの寄贈が急遽決まり、斎藤喜美子さんから山沢学長に手渡された。
 当日は感謝状の贈呈につづき、サントリー社員であり、エッセイストとしても活躍している斎藤由香さんによる記念講演会「信州を愛した北杜夫」が開催された。祖父・斎藤茂吉、祖母・輝子、そして父・北杜夫の破天荒なエピソードを中心に、ユニークで才能あふれる人材を輩出した一家の物語が、ユーモアたっぷりに展開された。また、躁鬱病であった北杜夫さんが浪曲をうなっている貴重な映像なども紹介され、100名を超える聴衆は笑いの渦につつまれるとともに、心を病むことも多い現代人の生き方へのヒントも示唆された講演であった。

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