
プロフィール
職歴:
1997〜1999年:
オーストリア・ウィーン工科大学客員研究員およびProfactor GmbH EU圏外研究員
2001〜2003年:
理化学研究所脳科学総合研究センター・動的認知行動研究チーム・ジュニアリサーチアソシエイト
2003〜2006年:
公立はこだて未来大学システム情報科学部・助手
2007年:
公立はこだて未来大学システム情報科学部・助教
学歴:
2003年:
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了
受賞歴:
2006年:
第7回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2006) 優秀講演賞
主な論文・解説:
- Komatsu, T., and Morikawa, K. (2007). Entrainment in the rate of utterance in speech dialogs between
users and an auto response system, Journal of Universal Computer Science, vol.17 (2), 186-198.
- 小松孝徳 (2006). 視覚的なSubtle Expressionsからのコンピュータの態度推定, 『ヒューマンインタフェー
ス学会論文誌』, vol.8 (1), 167-175.
- Komatsu, T., Utsunomiya, A., Suzuki, K., Ueda, K., Hiraki, K., and Oka, N. (2005). Experiments
toward a mutual adaptive speech interface that adopts the cognitive features humans use for
communication and induces and exploits users' adaptation, International Journal of Human-Computer
Interaction, vol.18 (3), 243-268.
- 小松孝徳・長崎康子 (2005). ビープ音からコンピュータの態度が推定できるのか?−韻律情報の変動が情報
発信者の態度推定に与える影響, 『ヒューマンインタフェース学会論文誌』, vol.7(1), 19-26.
- 小松孝徳・鈴木健太郎・植田一博・開一夫・岡夏樹 (2003). パラ言語情報を利用した相互適応的な意味獲得
プロセスの実験的分析, 『認知科学』, vol.10(1), 121-138.
研究紹介
私はこれまで,ユーザと円滑なインタラクションを構築できるような人工物,誤解を恐れずに言うと,ユーザが
「他に替えがたい,特別な人工物」と思ってしまうような人工物の構築を目指した研究活動を行ってきました.
このような研究活動は,Human-Computer Interaction研究の一分野として,特に認知科学・人工知能分野におい
てその動向が注目されています.この実現においては,ユーザと人工物とが相互に適応していく「相互適応」と
いう枠組みを構成することが不可欠であると考え,これまでに,ユーザと人工物との間に相互適応的な関係を構
築することを目的とした研究活動を行ってきました.これらの研究は,「人工物はユーザに対してどのように振
舞うべきなのか」といったような,ユーザに対して人工物側から歩み寄ろうという研究アプローチであったとい
えます.
しかし,このような研究アプローチを遂行するだけでは,ユーザと人工物が「お互いに対して徐々に適応してい
く相互適応的な関係」を実現することはできないといえるでしょう.なぜなら,その実現のためには,「ユーザ
を人工物に対して適切に振舞わせるためにはどうするのか」という研究アプローチ,つまり,人工物に対してユ
ーザ側から歩み寄ることを実現するような枠組みを構築することが不可欠になるからです.そこで私は,この枠
組みを実現するための研究アプローチとして,ユーザにインタラクションを行うための動機付けを与えることを
目標として,たとえば以下のような研究を始めています.
・ユーザの内部状態を反映した生体信号を何らかの形でフィードバックさせることで,ユーザをインタラクショ
ンに対して「感情移入させる・のめりこませる手法」の提案および開発.
・ユーザが無意識的に発したコトバやアクションにこめられたニュアンスのような表現を適切に解釈する意図理
解システム.
・人工物の外見と,その外見から想起される実際の機能との関連がユーザに与える影響を調査する認知心理実験
.
以上のような研究テーマに取り組むことで,ユーザと人工物との間に相互適応的な関係を構築する礎を築くこと
ができると考えています.またこの研究アプローチによって,従来は人工物を賢くすることに集中してきたイン
タラクション研究分野において,人間の適応,感情移入・歩み寄りを利用するという新たな研究の方向性を提案
することが可能となるのではと期待しています.
本テニュアトラックシステムについて
これまで行ってきた研究をさらに発展させるため,またその成果を国際的に発信するための恵まれた環境として
,本テニュアトラックのポストに応募しました.また,テニュアトラックの任期である4年半の間,教育につい
てのスキルも伸ばせることも,応募した理由のひとつです.長野県上田市は日本のほぼ中心に位置し,新幹線な
どのアクセスも非常に良いという利点もあります.このことから,国内外の様々な研究者とのコラボレーション
が,今までよりもさらに積極的に行えるのではと考えています(前所属は北海道でした).
今後の抱負
日本国内はもとより世界中で活躍できる研究者になるために,この恵まれた環境を最大限に活用し,研究活動に
邁進してゆく所存です.信州大学に所属している様々な研究者の方々や同じテニュアトラックの同期の皆さんと
の交流を通して,自分を磨いていきたいと考えております.