2000年01月〜2002年03月:
日本学術振興会特別研究員(DC2→PD:東京大学)
2002年05月〜2005年03月:
科学技術振興特任研究員(東京大学)
2005年04月〜2007年10月:
JST CREST研究員(研究領域『医療に向けた自己組織化等の分子配列制御による機能性材料・システムの創製』)
2005年12月〜2007年10月:
アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社 技術顧問(兼任)
2007年11月〜:
信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点 テニュアトラック特任助教
1998年03月:
東京大学大学院農学生命科学研究科 生物材料化学専攻 修士課程修了
2001年04月:
東京大学大学院農学生命科学研究科 生物材料化学専攻 博士課程修了
2007年05月
4th Asian Cyclodextrin Conference 2007, The Nagai Poster Prize, The Grand Prize(Doshisha University, Kyoto)
代表的な超分子の一つであるポリロタキサンは、1本の直鎖状軸分子が多数の環状分子を貫き、その環状分子が脱離しないように両末端にかさ高い基が結合した構造を有している。環状分子は直鎖状分子と共有結合していないため自由にスライドおよび回転することができ、従来の共有結合に基づいた分子とは異なる特性・物性を示す。現在、ポリロタキサンは超分子構造の基礎研究のみならず、様々なソフトマテリアル材料の原料としても研究が進められている。
このようなポリロタキサン材料の中で近年見出された材料の一つに「環動高分子材料」が挙げられる。これは他の高分子材料中にポリロタキサンを混合して架橋することによって、応力下において架橋点の移動する新規な高分子材料を形成し、数千倍の膨潤率や20倍以上の伸び率を実現する機能性材料として活用するものである。従来、このような効果は溶媒を含んで膨潤するゲル材料でのみ効果が発揮されるものと考えられてきたが、近年になって溶媒を含まない一般の高分子材料中でもこの効果が発揮されることが研究で明らかになってきている。
当研究室では、このような超分子材料を構成要素として含むさまざまな高分子材料を調製し、その物性を測定して高機能性素材として活用することを目的とする。例えば、ポリロタキサンを材料として用い、他の高分子材料と組み合わせて、超分子構造を内部に有する繊維や不織布、高吸水性材料のような材料を調製し、ポリロタキサン添加によって得られる新規な物性について検討する。

Figure 1. ポリロタキサンの模式図

Figure 2. 環動ゲル(左)およびポリロタキサンを含む環動高分子材料(右)の模式図。
今回、日本のテニュアトラックシステムの先鞭として選んで頂いたことを誠に光栄に感じると同時に、自分の行動や功績が日本のテニュアトラックシステムの成否を左右するという大きな重責を担っていると痛感いたします。信州大学のテニュアトラックシステムの理念である「国際的な視野と高い能力をもつ若手研究者の採用と育成」、「若手が自立的な立場で研究に取り組める場の創出」、「適材適所の人材登用が可能な柔軟な人事システムの構築」といった点を鑑み、初心を忘れることなく、また同時に従来の慣習にとらわれることなく、独立した研究者として競争力を高め、世界に向けて研究成果の発信に務めて参りたいと考えます。また、学生やスタッフが安心して自分のやりたいことに打ち込め、充実した大学生活を送れるような研究室を着実に運営することにも力を注ぎたいと考えております。