企業の方による講義3

活動報告

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日本繊維機械学会と繊維業界の有志が運営する次世代人材育成事業「繊維・未来塾」から講師をお招きした講義が行われました。今回で3人目となる講師の先生は、長野県にある髙澤織物株式会社テキスタイルデザイナーの髙澤史納氏でした。
大正13年に創業した93年の老舗の機屋である髙澤織物株式会社は、日本三大紬の一つである上田紬にも取り組んでいる繊維企業であり、オーガニックコットンを使った新しい織物にも挑戦をし続けています。織機を電車に例え、現在主流のレピア織機が新幹線であるならば、髙澤織物で使用している織機は蒸気機関車で、それでしか作れない独自性や付加価値のある製品を製作しています。さらにその製品はヨーロッパでも認められ、ハイブランドのパリコレクションに発表される洋服やニューヨーク近代美術館(MoMA)でも採用されている実績があります。自社の製品をブランド化し、顧客の細かい要望に答えながらも、自社のこだわりである「和のテイスト」を売りにして、生き残ってきた企業です。
第1回目の企業の方による講義でお招きした大正紡績株式会社の近藤さんとの出会いや、オーガニックコットンに魅せられて来た現在までをテンポよく話され、繊維のオーガニックで一番大事なのは「世界平和への貢献」と学生たちに訴えました。労働環境へのチェック、児童労働がない、フェアトレード、休憩時間など労働者の環境への配慮(水が飲めるなど)の厳しい基準をクリアしたものだけがオーガニックと名乗れるコットンになりますが、髙澤さん自身がそのオーガニックのサイクルの中に入り、そこに付加価値を付けて世に送り出すことがご自身の仕事であると、情熱を込めてお話くださいました。また老舗を牽引する立場から、髙澤織物株式会社は伝統産業であり、伝統と伝承は違うので、変革していくことであり、変えていくべきこと、変えられないこと、変えてはいけないこと、変わっていくもの、そこを見極めていくのがリーダーの仕事であり、ぜひ起業をして、会社の顔となり、担当者としての付き合いではない、人間対人間の付き合いを経験しなさいと語ってくださったのが印象的でした。 リーダーの本質についても触れ、リーダーとは何をリードするのかと学生に問いかけ、「人を動かすこと」と明確に断言されました。
髙澤織物株式会社で生産した生地が洋服となりパリコレのランウェイを歩く。銀座のデパートのショーウィンドウに製作した生地を使った洋服が飾られる、そういった事が、社員一人一人にも喜びやモチベーションとなって、還元される。そうしたことが、93年も続いてきた企業の礎となっているのかも知れません。
大正紡績株式会社の近藤エンジニア、東海染工株式会社の八代社長、そして髙澤織物株式会社のテキスタイルデザイナー髙澤氏、全てが個性的で魅力的な講義でしたが、3つが繋がった時、とても贅沢で、さらに意味のあるものになったように感じました。3人の講師の方全てに共通することは、「情熱」と「人間力」。学生たちが未来のリーダーとして一歩先へ進めるようご自身の言葉で語っていただいたことは、学生たちにとって今後の人生の宝となることでしょう。

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