企業の方による講義1

活動報告

taisho_1.JPG10月21日、大正紡績株式会社の近藤健一素材戦略ディレクターをお迎えして、講義を行いました。
糸の魔術師と呼ばれる近藤さんは、入社1年目から現在に至るまでの夢、訪れた場所、出会った人々について、語ってくださいました。近藤さんが30年近くに渡って情熱を注いできたオーガニックコットンとの出会いや、除塩効果のある綿花で塩害農地を再生させる活動(近藤さんは、東北コットンプロジェクトの発起人でもいらっしゃいます)、19世紀の幻の綿織物ダッカ・モスリンを蘇らせたストールの話。

taisho_2.JPG近藤さんは、この「ダッカの霧」と名づけられたストールを実際に触らせてくださいました。木箱から取り出されたそれは、どこまでも薄く軽く滑らかで柔らかい、綿とは一見信じがたいストールでした。イギリスのヴィクトリア&アルバート博物館で目にしてから、40年の時を経て、近藤さんは機械織でそれを再現することに成功したのです。その話術と、スケールの大きさと、情熱に、学生たちは前のめりになって聞き入りました。事前に「五感を駆使した講義」と伺っていましたが、それは「本物に触れることの大切さ」を知る講義でもありました。

taisho_3.JPGどれも魅力的なお話を伺った後は、「本物に触れる時間」として、様々な種類のコットン、カシミアやアルパカなどの獣毛といった試料と、衣類のサンプル品を触る時間を設けてくださいました。エルメスやシャネル、グッチ、イッセイ・ミヤケ・・・近藤さんの糸を使って作られた、一流ブランドの洋服の数々の手触りを確かめ、また、実際に袖を通して、ちょっとしたファッションショーのようでした。
「ファストファッションなんかに満足しないで、質の高い本物を着なきゃダメだぞ」と声を掛けられた学生たち、何を思ったでしょうか。
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