テキスタイル基礎実習(工場研修@エプソン)

活動報告

7月1日、プログラム履修生1年生全員と2・3年生の希望者でセイコーエプソン株式会社の塩尻事業所へ行ってきました。塩尻事業所では、SEIKOブランドの高級腕時計の製造組み立てを行っています。

参加報告:プログラム2年生 辻本健
1. 参加の目的
優れた製品のものづくりがどのように行われているのか学ぶ。その上で、その現場を見学して感じた疑問点や問題点について議論し、や具体的な解決方法や意思決定のプロセスを学ぶ。

2. 参加した結果得られた課題
繊維産業とは少しことなっているけれども、同じものづくりという土俵で世界を相手に製品を展開する会社の姿勢を目の当たりにできた。最大限に配慮された環境整備、自動化と手作業のバランス、技術力の継承や把握、企業理念を反映させる製品づくり、個人の責任感を強くする意識など、それぞれの要素について話しを聞いた。これからも技術の発達により自動化できる工程はますます増えていくだろうが、製品を使う人の中には手作業で作られていることに価値を見出す人もいる。自分の疑問点も絡めて、この話が最も印象に残っている。技術力やコスト一辺倒にならずに、ものを使う人の立場に立てるバランス感覚は大切になってくるだろう。周りの環境にアンテナを張り巡らせて、その感覚を養っていきたいと思う。

3. 参加した結果得られた成果
高い技術力をもった職人たちが結集し、いくつもの工程を経てようやく時計が完成している。人の手でなければ組み上げられないほどにデリケートな精密機械を安定に供給するためには、職人の育成と技術の継承が不可欠である。セイコーの方は、"多能工化"という言葉で説明してくださった。ひとつの工程だけでなく、最終的にどの工程でも担当できる職人を作るということである。同時に多数のモデルを製造販売している中で、売れるモデルと売れないモデルの差はどうしても生まれてくる。その時に、売れるモデルのボトルネックとなっている工程に多くの人員を割き、効率よく現場を運営するためである。人の手によって行われる工程が多い組み立て加工において、機会損失を最小限にとどめるための工夫だった。また、作業現場には誰がどの工程を修了しているかを確認できる一覧表があった。技術検定級と合わせて見えるようにしており、現場でも技術の共有や育成、確認を意識できる環境を作られているように感じた。それがウオッチ事業部の技術の根幹を支えているのだろうと思う。

4. 成果を今後の研究にどのように活用するか
塩尻事業所の技術者の方達は技術を基に成果を生み出す集団であるという点で、私たち学生が所属する研究室と、規模は違えども本質的には同じように思う。"先輩から技術を学び、後輩に指導する""最大限に作業しやすい環境を意識する"といった、ものづくりの現場の姿勢を研究室に還元できればとよいと思う。

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