地域ニーズで就業力と地域定着志向 と成長力を高めるキャリア教育

地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)地域ニーズで就業力と地域定着志向 と成長力を高めるキャリア教育

COC+事業とは

1.事業概要

本事業は、大学が地域と協働して進める地方創生推進事業の一つです。長野県の地域資源等を活用し、魅力ある研究・教育メニューの提供によって大学進学者の流出抑制や他地域(首都圏)からの流入促進を狙います。また在学中に地域の魅力に気づき、その地で働き、地域の活性化等に寄与する人材を育成するプログラムです。長野県におけるCOC+事業では、「地域を活用したキャリア教育・就職支援の強化」を目指しています。

H29信州大学COC+概要
H29信州大学COC+概要
COC+事業とは
文部科学省では、平成27年度から、大学が地方公共団体や企業等と協働して、学生にとって魅力ある就職先の創出をするとともに、その地域が求める人材を養成するために必要な教育カリキュラムの改革を断行する大学の取組を支援することで、地方創生の中心となる「ひと」の地方への集積を目的として「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」を実施しています。

文部科学省ホームページ

COC+事業の5つのポイント

①「キャリア教育の体系化・プログラム化」

信州アカデミア(COC)事業を通じて、地域との対話から導き出した7つの地域課題(地域経営・歴史文化・環境共生・健康長寿・多文化共働・防災減災・キャリア)を学部横断的に提示し、問題意識から自らの学びを設計できるようにしています。プログラム化することで、より深い学びを提供します。

②「インターンシップの拡充」

県や産業界、地域の他大学とのコンソーシアムを形成し、地域活動や県内企業の現場における課題解決・就業体験をより多くの学生が体験できる環境を整えます。

③学びの履歴書としての「eキャリア・ポートフォリオ」の導入

なりたい自分や将来の職業選択に向けて、学びの履歴や資格等を蓄積し、自己チェックや友人同士、指導教員によるレビューに活用します。また、インターンシップや就職活動での証明書としても役立ちます。入学から卒業まで継続的にキャリア形成支援を行い、学生が目標を持った学びや地域活動に取組めるようにします。

④大学間連携によるキャリア教育事業の推進

長野大学

地域志向のインターンシップの動機づけ、参加意欲の向上を促し、地元の組織で働く人の気持ちや将来、生き方を共有しています。

事例
  1. 「地産地消論」地域資源を活用した地域活性化を考える
  2. 「信州学生サミット」地元志向の学生が集まり意識を共有
  3. 「インターンシップ公開報告会」研修内容を個々がプレゼン
  • 信州学生サミット
    信州学生サミット
  • インターンシップ公開報告会
    インターンシップ公開報告会
松本大学

地域の課題解決に取り組むことで、地域への定着を促し、さらに異なる世代との交流により、地域の課題解決人材としてコミュニケーション力が向上しています。

事例
  1. 「地域防災」学内に立ち上げた自主防災組織の稼働と環境整備
  2. 「健康づくり」加速度トレーニングマシンを使用した運動指導
  3. 消費者弱者への支援活動「リアカー販売」
  4. 地域づくりインターン、松本広域ものづくりフェア
  • 消費者弱者への支援活動
    消費者弱者への支援活動
  • インターンシップ公開報告会
    松本広域ものづくりフェア

⑤事業協働機関との連携事業

行政

長野県内の産官学金の機関が連携し、平成25年9月に「長野県産学官協働人財育成円卓会議」を設置しました。産学官協働による人材育成のあり方をテーマに検討を重ねています。議論の成果を実行するプラットフォームとして、平成27年7月に「信州産学官ひとづくりコンソーシアム」が設置されました。

産業界

長野県経営者協会、長野県商工会議所連合会、長野県商工会連合会、長野県中小企業団体中央会、長野県中小企業家同友会、長野県プロフェッショナル人材育成拠点が中心となり、インターンシップの受入れ体制を整備しています。また、受入れの意向に関する調査をはじめとして、インターンシップの拡大と人材の県内定着に向けた学生支援などを実施しています。

  • 独自の受入先開拓、他機関との連携
    (地域の特色ある中小企業等への重点化)
    • 長野県等が推進する地域企業へのインターンシップとの連携
    • 各種団体が取り組むインターンシッププログラム等との連携
    • 自治体や業界団体等との連携協定等を活用し、新たな受入先を独自に開拓
  • 県内企業経営者へヒアリングを行い、企業における人材確保に関する課題や、求める人材像を「長野県中小企業の人材育成に関するヒアリング調査報告書(H29.3.31)」としてまとめた。

2.背景と長野県の課題

課題1人口減少と老年人口割合の上昇

平成29年度の長野県の総人口は、2,078,645人で、前年に比べ11,389人の減少(15年連続の減少)であった。生産人口は1,170,879人(56.4%)であり、老年人口は643,718人(31.0%)となり、未だに生産年齢人口割合が全国を下回る水準で低下し、老年人口割合は全国を上回る水準で上昇しています。

課題2若年層人口(10~20代)の県外流出

長野県の若年層人口の推移をみると、平成22年度を100%としたとき平成27年度88.1%、28年度86.4%、29年度85.3%と流出傾向にあります。今後のコミュニティ維持の懸念を払拭するためには、次代の信州を担う人材の定着と育成が求められるところです。

課題3大学の収容力が低い

平成27年度の大学の収容率 (大学入学者数/18 歳人口)は16.3%、大学の入学定員の総計は3,393人で、全国45位と低い水準にある。また、私立大学は平均で10%程度の定員割れが続いてきましたが、平成26年度以降の志願者拡大の取組等により、定員割れの割合が減少傾向にあります。

課題4産業人材育成の課題

転出超過率の状況は、平成28年の15歳~34歳の人口は平成22年と比べると62,155人の減少となっており、若年層の人口減少が続いている。特に、20歳~24歳の流出が多いことから、卒業時に県外へ出て就職をする傾向が続いており、卒業時の県内就職のよる定着促進が課題となっています。
一方で、平成28年の19歳~34歳の転入者数は37,176人、転出者数は39,408人となっていますが、その内、県外からの転入は19,735人と県外者割合は53%となっており、県外からの流入が多くなっています。県外者の県内就職を促すことで若年層人材を確保を目指します。

3.目標値

地方創生推進状況(学生獲得と地域定着)

  • 長野県は、県外出身者が半数、それを超える割合が地域に定着しています。
  • 信州大学は、同規模大学と比較しても、県外からの流入が多く、地域定着が高い
  • 入学生の地域貢献イメージが定着

大学等の高等教育機関と産業界とが連携した産業人材・地域づくり人材等の育成が今後の課題となっています。
以上を踏まえ、本事業では以下のような目標値を設定しています。

COC+事業における目標値 太字が実績値( )内目標値

table_target_value2_1.png

※1. COC+における県内就職率 = 県内就職者数 / 就職希望者数
※2. 申請時は就職率は3%向上だったが、採択時に上方修正の要請により5%へ

4.実施体制

事業組織及びスタッフ紹介

本学の濱田州博学長が座長となり、共通教育の企画及び実施並びに修学支援、カリキュラムの策定などの重要な事項について審議するほか、全学教育機構と各学部との連携協力及び連絡調整を円滑に行うことを目的とする共通教育推進会議において、1年次から高年次に向けた次代を切り拓くキャリア人材の育成を目指す全学横断特別教育プログラムの構築に取り組んでいます。

消費者弱者への支援活動

COC+外部評価委員会

COC事業の評価体制を継承して、他のCOC/COC+採択大学、近隣の地元大学、民間の有識者による外部評価委員会を設置。人材の育成と定着、インターンシップの推進、本学キャリア教育の整備・運営に対して外部評価を年1回開催し、翌年度の事業運営に反映しています。

  • 県外大学...金沢大学 理事 福森義宏 氏
  • 産業界...長野経済研究所調査部長 小澤吉則 氏
  • 地域連携...関市ビジネスサポートセンター 副センター長 松浦 俊介 氏