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北杜夫さんの自筆短歌の掛け軸等が預託されました

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作家・北杜夫さん(1927~2011年)の自筆短歌の掛け軸2幅とエッセーの原稿8枚が、北さんと親交が深かった信州大学繊維学部卒業生の平沢伴明さんから図書館へ預託されました。

平沢さんは信州甲虫研究会会長を務めており、旧制松本高等学校(信州大学の前身)出身で『どくとるマンボウ昆虫記』の著作もある北杜夫さんとは、昆虫採集を通じて深い親交がありました。掛け軸は平沢さんからコガネムシの標本を譲り受けたお礼に、北さんが25年前に書いたものだそうです。エッセー原稿は、信州大学OBや学生が会員の信大昆虫研究会の会報に、研究会名誉顧問であった北さんがコガネムシの収集熱などについて寄稿したものです。
いずれも平沢さんのご自宅で保管されてきましたが、北杜夫さんの蔵書が信州大学附属図書館に寄贈されたことを知った平沢さんから、「学生や市民、北さんのファンが見られる機会をつくってほしい」との申し出があり、預託いただくこととなったものです。
なお、掛け軸に書かれた短歌二首は、北さんが松高時代に詠んだ短歌です。毛筆で字を書くことの少なかった北さんが、平沢さんへの感謝の気持ちを込めて書いた貴重なものです。以下に紹介します。

梓川の水音聞きつつ垢じみし畳のうへに黙してゐたり
梓川の音のみ高くこの峡は恐ろしきまで静まりにけり

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