信州ブックレットシリーズ003
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7汕頭市(貴嶼村)の現状からみる中国の経済発展と循環型社会構築への課題Anybody’s Backyard=誰のうちの裏庭にも置かず,迷惑のかからないようにしましょう」とするのが,今日の公共政策の手法です。つまり,迷惑になるものを極小化し,極端に言えばゼロに近づけていけば,問題を解決できるという考え方です。 どうやってNIMBYをNIABYに近づけていくのかというのが,公共政策等で迷惑施設の問題等を扱う際の論点です。これは,アメリカが発祥地ですが,世界的に展開されています。受益圏と受苦圏とか,当事者原則・補完性原理,ステイクホルダー・デモクラシーなど,いろいろな理論を使いまして,解決策を具体化することが行われています。 今日,私がお話ししたいのは,この問題です。ごみ処理場や火葬場・墓地をどこにつくるのか。刑務所や障害者施設の立地をどう解決していくのかという問題の,グローバル版です。当然,環境問題が関わります。この20年間ぐらいでしょうか,世界的にグローバリゼーションということで,世界経済がひとつになってきた。NIMBYの問題が,地球全体のためにはこれが必要だが,わが国に来るのは困るといった問題が出てきて,それがいわば極大化したのが,IT産業廃棄物,電子ゴミの問題で,これから私がお話しすることです。 現状のポイントは,中国とインドに,世界中の電子ゴミが集積している問題です。 今,コンピューターや携帯電話がどんどん発達して,次々に新しい商品が開発されています。皆さんも日常的に経験していると思いますが,パソコンや携帯電話は,短期間に性能がアップし,次々にバージョンアップしていきます。携帯といえばドコモだと思っていたら,いつの間にかiPhoneの時代,ということがありますね。 そうすると,旧型モデルは不要になる。中古で使う分にはリサイクルでいいんですが,それも使い果たしたら,どこへ持って行くのかという問題が出てきます。全部細かく解体して使える部品をリサイクルし,レアメタルだけを取り出すといった処理が完全にできればいいのですが,技術とコストの問題がある。プラスチックの外枠や容器はどうするのか,といった問題が起こるわけです。

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