信州ブックレットシリーズ003
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6 皆さんのお手元に,小冊子のかたちで,詳しい報告書がレジメ集に入っているはずです。これを後で見ていただければと思いますので,今日はパワーポイントを使って視覚的に説明しようと思います。「中国の経済発展と循環型社会構築への課題」というテーマを,中国の汕頭(スワトウ)市,その一部である貴嶼(グイユ)村の電子廃棄物問題をローカルに調べ,そこからグローバルに考えていくものです。 「NIMBY=ニムビイ」とは 本日のプログラムにある「MOT」という言葉が,私はずっと分からなくて,先ほど鈴木智弘教授に聞いて,ようやく経営学用語の「Management of Technology」だと分かりました。往々にして,それぞれの学会には,特有の学術用語・専門用語があって,他領域では通じないことがあります。 今日私がお話しするのは,「NIMBY=ニムビイ」の問題です。これは,政治学,行政学,公共政策(public policy)の領域で使われている学術専門用語ですが,おそらく皆さんにはあまり馴染みはないでしょう。「Not In My Back Yard」という英語の略語です。 「NIMBY=ニムビイ」は,いわゆる迷惑施設問題から生まれた術語です。例えば地域のごみ処理場は,公共的なもので,町のどこかにどうしても必要だ。しかし「うちのそばにつくってもらうのは困る」という人が,必ず出てきます。あるいは,もう少し大きい問題にすれば,日本の安全保障のために,どこかに米軍基地は必要である,しかしそれはうちの近くに移転してきては困る,沖縄にそのままおいてくれ,というような話です。 つまり,一般的な必要は了解されている,全体に関わる公共的な施設がある,その解決は必要だし賛成だ,けれどもそれが自分の生活点の近くにやってくるのは困るというのが,「Not In My Back Yard=うちの裏庭にだけは来ないで」ということです。具体的には,公共的イシューでの地域エゴとか近隣紛争で,よくみられます。これを政治学等では,「NIMBY=ニムビイ」と言っております。 この「NIMBY=ニムビイ」問題を分析し,理論的に整理して,解決策を探り,紛争を極小化して,「NIABY=ニアビイ」へ,つまり「Not In

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