信州ブックレットシリーズ003
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28けです。それがどこに行くのかというところまで見極めないと,今日のテーマである地球的規模での環境問題,生産から流通,消費,廃棄,リサイクルまでを含めた環流は完結しない,というのが基本的な問題です。 NIABYになるどころか,NIMBYのグローバルな広がりが,電子ゴミの行方を追及して,ようやく明らかになった。NIMBY問題というのは,われわれは普通,近所にごみ工場ができるとか,あるいはもう少し視野を広げても,沖縄に基地が集中してかわいそうだけれど,自分のところに来たら困る,という風に考えてきました。しかし,今や,われわれが,われわれの便利ないろいろな機器を使うようになって,買い換えることによって,そのツケが回り回って,中国やインドに行き着き,これからは,おそらくアフリカに回るようになる,と見えてきたのです。 この問題を解決し,NIABYにするための方法も,ローカルに,それぞれの地域,国の内部でリサイクルをやっていくのか。あるいは,地球的規模で何らかのルールが必要なのか,真剣に考えなければならない段階に,差しかかっていると思います。 細かいところは省略しましたが,携帯電話やパソコンの廃棄・解体が,こういうかたちで地球上のNIMBY問題,グローバルなNIMBY問題になり,その中に,中国の汕頭市と貴嶼村がある。汕頭市は風光明媚なきれいな自治体で,環境モデル都市です。しかし,その中に貴嶼村があって,そこはそれで全世界を相手に汚れ役で生きている。こういう問題です。 確か長野でも,長野オリンピックのときでしたか,滑降コースの問題がありましたね。オリンピックは誰でもやりたい,総論賛成,大歓迎だ。しかし,コースをどこにつくるかという各論では,白馬に移す問題になりましたね。 それと同じような問題は,われわれが日常的に経験しているものです。その意味では,NIMBYからNIABYへという,こういう考え方自体が,今日のシンポジウム全体の中で皆さんに議論していただくさいのひとつのヒントになるのではないかと思います。 ご清聴ありがとうございました。

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