信州ブックレットシリーズ003
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20のですが,実はそれが北朝鮮に回っていたといった話が,いろいろ出てきています。家電4品目でさえ,業者に回収されたけれども,国内で最終処理されないで,また輸出にまわされているものが,結構あるわけです。 これについて,詳しい公的統計はないのですが,2008年の寺園淳さんの調査では,使用済みパソコンは,日本では8.2%しか輸出に回っていない,といいます。それでも1割近くが輸出に回り,その9割以上はアジアだということは,だいたい推測がつきます。 この貴嶼という中国の村は,インドのニューデリー,パキスタンのカラチ,ナイジェリアのラゴスなどとともに,先進国から直接入る場合もありますが,多くは幾つかの国を回って,最終的に行き着く電子機器の墓場になっています。 次に,これがどういうふうに起こってくるかという点を,「プッシュ」と「プル」という考え方で,理論的に整理してみます。プッシュ要因・リサイクル法制の整備と先進国における再生資源の回収の増加・生産拠点の先進国から中国等のアジア地域への移行・高い労働コスト・環境規制の強化・処分場の逼迫と汚染の回避・ 技術進歩の加速とライフサイクルの短縮 プッシュの要因,つまりどうしてこういうごみが出てくるのかというと,リサイクル法制が先進国で整備され,再生資源が回収される。しかし,回収された全てが,リサイクルで再び新しい商品になっていくわけではありません。外枠のプラスチックとか,金属でも銀とか白金とかリチウムなどは取り出され,使われていくかもしれませんが,ほかのものは,もう無駄だから,採算が合わないからと,捨てられていくわけです。そういうものが幾何級数的に増加していく。

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