信州ブックレットシリーズ6電子書籍版
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神様と言われているコトラー(フィリップ・コトラー)教授の「マーケティング3.0」についてもお話したいと思います。 コトラーのマーケティング3.0も、プラハラードの価値共創の考え方とかなり共通する部分があると思います。 「マーケティング1.0」というのは何かというと、大量生産・大量消費の時代のマーケティング手法を指す概念です。大量生産・大量消費の時代には、大量に生産された商品を、消費者に売り込む必要があったので、売り込みの手法を開発することが必要とされた。それがマーケティング1.0だったということなんですね。 コトラーの本に出てくるヘンリー・フォードの有名なエピソードを紹介しましょう。フォードは、こう言い放ちました。「Any customer can have a car painted any color that he wants so long as it is black.(顧客は好みの色の車を買うことができる。好みの色が黒である限りは)」。T型フォード(Henry Ford’s Model T)の時代には、黒いフォードしか作っていませんから、作ってしまったものをどうやって売るのかがマーケティングだったんです。 皆さん、経営学になじみのない方は、「マーケティング」とは、まあそういうようなものかなと今でも思っておられるのではありませんか。要するに、売り込むテクニックとしてのマーケティングということですが、これは20世紀前半のマーケティングの考え方です。 20世紀の後半以降は、「マーケティング2.0」になった。これはもう、皆さんがよくご存じの、製品差別化です。顧客それぞれのニーズに合わせ、多品種少量生産システムとタイアップしながらものを生産し、販売していくのが「マーケティング2.0」です。 それでは、「マーケティング3.0」は何を指す言葉でしょうか。コトラーは、ソーシャル・メディアが出てきたことによって、「マーケティ85

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