信州ブックレットシリーズ6電子書籍版
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球の持続可能性を阻害しないためには、この三つの経済をいかに調和させるのかということが課題になるわけです。 1997年の論文で、提案されたのは、1つは、いわゆる「汚染の防止」(ゼロエミッション)ですね。それから2つ目は、「プロダクト・スチュワード・シップ」、これは拡大生産者責任に近い概念ですが、基本的な違いもあります。拡大生産者責任というのは、企業が責任の範囲を広げるということですけれども、製品の全ライフサイクルの関係者が協力をし合って、問題を解決していくというのがプロダクト・スチュワード・シップの概念です。それからクリーンテクノロジーという、三つのことを当時、論文の中で提案をしておられました。(「サステイナビリティの経済」の問題については、目下、本を執筆中です。9月に、グリーンMOT叢書最終巻「サスティナブル地域論」として刊行される予定ですので、そこに詳しく書いておきました。是非、ご一読ください。)3.企業の責任の範囲 実は、ESDの10年の間には、消費者と生産者についても、持続可能な消費者や持続可能な生産者になるために、どういう役割を果たすべきかについて、いわゆる「マラケシュ・プロセス」がスタートし、世界の方々が検討して来ました1。そこで、今日は、企業と消費者について、簡単にですが、その責任の範囲、やるべきことは何なのかということを考えてみたいと思います。 まず企業の関係ですけれども、企業の本質は、本来、どういうものなのかということを少し考えてみましょう。私は、法政大学ではCSR1 2012年のリオ+20の会議成果文書The Future We Wantでは、「持続可能な消費と生産(SCP)に関する10年取組枠組み(10YFP)」が採択されている。79

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