信州ブックレットシリーズ6電子書籍版
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 名古屋の世界会議では、各国の方々や、日本でESDに取り組む様々な方々と直接お目にかかって、有益な情報交換を行うことができました。率直に言えば、私どもだけじゃないという意味で、大変、意を強くすることができました。これを、具体的に、今後、信州大学での活動を含めて、どのように経営教育として展開していったらいいのだろうかということで、これから少し問題提起をさせていただきたいと思います。2.サステイナビリティと三つの経済 最初に、「サステイナビリティ」、安井先生のお話で指摘があった五十何番目の定義になりますけれども、今日のフォーラムの場で、サステイナビリティの新しい定義を1つご紹介したいと思います。 実は、この定義は、私の知人のコーネル大学のスチュワート・ハート教授という経営学者が考えた定義に、私が勝手に少し手を入れたものです。元々の論文は、1997年に『ハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)』に載った10頁ほどの短いものなのですが、この論文は、世界的にも高い評価を受けており、20年近く経った今日でも、新鮮さを失っていないと思っています。確か、2年前に、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビューにも翻訳が出ていたと記憶しています。 ハート教授は、世の中には三つの経済があると考えます。「市場経済」、それから「自然の経済」、「生存の経済」の三つの経済です。この3つの経済が、あたかも衝突する宇宙のように、ぶつかり合っているのが現在の状況ということになります。三つの経済がぶつかり合う局面では、様々な問題が発生します。例えば市場経済と生存の経済がぶつかり合うところでは、貧困が発生する。自然の経済と市場経済が76

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