信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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質疑応答橋本:以上が今日のメニューになりますが,最後に,何かご意見やご感想などがありましたらお願いいたします。 本日は,リスク論的な考え方とは何かから始まり,認知バイアスや判断のエラーを経て,最後にリスクに備える,という流れでした。そういう中で,最初に来るのは,リスクの認知をいかに深めるか,リスクをリスクと気がつくことの重要性です。そうしないと対策が始まらないということです。 そして,リスクが現実化してしまった後の取り組みでは,責任追及よりも,まずは再発防止策を優先する。そのためには責任問題と真相の究明は切り離して考える必要があります。なかなか難しいとは思いますが。 航空機事故調査の場合は,そのようなことが行われています。責任追及と事故調査を切り離して,まずは事故調査を優先する。それによって問題点を明らかにして,対策を行う。この持続的な改善の成果として,航空機リスクは,この50年間に大きく低下しました。 日常的に,この手の活動に従事されている方はいらっしゃいますか。リスク管理などの場面で。会場B:私は子育て支援のNPOで働いているのですが,すごく身近に感じたのが後半の部分です。 たとえば予防接種については,今お母さんたちに責任が来ているのですが,お母さんたちは,子どもに「どうする?」と聞くんです。小さな子に。けれども,子どもは全然責任は負えないので,責任がもう中ぶらりんになっている状態です。先生がおっしゃるように,私も,予防接種は本来の目的として,強制接種であるべき予防接種もあるのではないかと思っています。72

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