信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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地の人が持っているローカル情報をハザードマップに書き加えた。行政が持っている共有情報と,地元の人しか知らないローカルな情報が合わさることで,生きたハザードマップになります。そういうかたちで,リスクの認知を高めることができます。統合的な思考 また,リスクを捉える考え方としては,一見,関係がないように見える出来事の中に,その背後に共通性がないかと,点を線で結んで面で考えるという思考が重要になってきます。しかも,単一の原因に求めないで,その背後に,さらにその背後に原因がないかと複数の原因を考える。部分ではなく,全体に注目するということです。 そのときに,安易な二者択一をしないで,もともとトレード・オフになっている前提を考える。前提を変えれば,トレード・オフが解消される可能性もあります。 あるいは第三の選択がないかと考えてみることです。どうしても時間が限られていると,AかBかのどちらかだ,みたいな発想になってしまい,本当はCという選択肢があるにもかかわらず,拙速な意思決定をしてしまうあやまちが起こりがちになってしまいます。責任追及よりも再発防止 この場合,責任追及よりも再発防止を優先するということなので,まずは犯人捜しをやめる。そうしないと,目につきやすい原因だけで止まってしまって,その背後に抱えている組織の原因にまで目が行かない可能性が高いです。もちろん,法的な責任が免除されるかどうかは別の話ですが,とりあえず,それを最初にやるのではなくて,それを脇に置いておいて,真相を究明する。あるいは,真相究明や再発防止を責任のかたちで課す。そのようなやり方での対応が70

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