信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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外的なケース,レアケースとして見送られることによって,必要な対策が講じられなくなること。これが実は危険信号なのだけれども,それを見逃してしまうということです。 そういうことを防ぐためには,「ヒヤリ・ハット」と現場では言いますが,ニアミス,あわや事故になりそうだ,でも事故にいたらずに済んだという事例を集めて,事故情報の数を増やしておくことです。そうすることによって,リスクの認知も進みますし,一つの事例に引っ張られる過剰一般化の防止にもなります。類似した複数のケースを把握することで,これは,どうも構造的な何か問題があるのではないか,組織上の問題があるのではないか,管理上の問題があるのではないかなど,気づきやすくなるわけです。非共有情報の共有 あと情報の収集という意味では,非共有情報の発掘と活用です。集団の中で共有されている情報に,どうしても関心が集中しやすいので,それぞれの個人が持っている,その人しか持っていない独自情報のようなもの,そういうものを持ち寄って,議論の場で生かす必要があります。そうしないと,みんなが知っている共通の情報だけに基づいた偏った意思決定をして,誤った判断をしてしまうことがあります。共有情報のバイアスと言います。 そういうときには,議長なりリーダーが意識的に,まだ共有されていない非共有情報を掘り起こして,「何か,ほかに欠けている情報はありませんか」というように声を掛けて,非共有情報を引き出して,それを含めて,議論の場で検討しなければいけません。 事例として,群馬県みなかみ町でのハザードマップの取り組みがあります。これは,役所のほうでハザードマップをつくったけれども,さらに,地元住民が,ここの沢から水が出たら危ないとか,土69

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