信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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定期的に必ず来るものです。プレート境界型地震だから,ひずみがたまって,いつか,パンッとはじければ巨大津波が来ると分かっている。ただ,それがいつ来るのかは分からない。50年後か,100年後かは分からないけれども,定期的に必ず来ているわけです。そこに住み続けるということは,三陸の自然の恵みというベネフィットを受ける代わりに,いつか来る大津波のリスクも引き受けるという覚悟が求められるわけです。 そうすると,津波警報のたびに必ず避難しておかなければいけません。ところが,津波警報が来て避難する。たいした津波ではなかった,やれやれ。何か面倒だなとなって,やがて避難しなくなってくる。そうやって避難しなくなるのが日常生活の習慣になると,いつか必ず来る大津波のときに命を落とす。それは,その世代ではないかもしれない,数世代後かもしれません。ただ,ずっと,おじいちゃんも,お父さんも,津波の被害に遭っていなくて,津波警報なんてたいしたことがないという認識で子どもに教えてしまうと,その日がやってきたときに,逃げ遅れて犠牲になるということになってしまう。そういういつか必ず来るリスクに備えるためには,空振りしてでも,必ず逃げるという習慣が求められたのだと思います。ハイリスクを自覚する リスクの許容水準は,リスクを引き受けることと引き替えに,どの程度のベネフィットを求めているのかによって異なってきます。高いベネフィットを求めているのであれば,ハイリスク,ハイリターンということで,ハイリスクを引き受けることになる。つまり,許容水準を高めに設定せざるを得ません。 そうなると,ハイリスクをハイリスクのままに終わらせないようにするための対策と工夫が求められます。この場合のハイリスクと66

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