信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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肉にも死亡者が集中しているのです。ハザードマップを信じて死んでいった人が少なくなかったという結果が出ています。 そういう中で「ハザードマップを信じるな」と教わっていて,実行に移していたので,みんな逃げた。三段階にわたって逃げているのです。きっかけは,グランドにいた中学生が,「津波だ」と叫びだして,それで,日ごろ訓練をしていましたから,逃げ出した。最初の避難場所である「ございしょの里」へ逃げていった。いつも合同演習をしていた小学校の子たちは,そのとき校舎の上に上がろうとしたのですが,中学生たちがものすごい勢いで走って逃げていく。中学生たちはいつも小学生を連れて逃げるという訓練をしていたので,小学生もそれを見て下りて,中学生と手をつないで一緒になって,最初の「ございしょ」のところへ逃げ出す。 ございしょに着いたら,そこで崖崩れが起こっているのを中学生が発見し,ここも危ないから,二番目の避難場所に行こうと,次の「やまざき機能訓練デイサービスホーム」の方に逃げていく。ところが,やまざきに到着して1分も経たないうちに,津波が手前までやってきた。実際に,やまざきの手前まで津波が到達したという太い実線があります。津波がもう目の前に迫ってきましたから,さらに逃げて,最終的には,石材店のところまで逃げていって,辛くも助かるというのが結果です。 このように「最善を尽くせ」と教えられていたので,そのように実行した。「率先避難者たれ」ということで,真っ先に逃げ出した。小学生や地域の住民は,中学生の行動を見て,みんな逃げ出したわけです。逃げているから自分も逃げると,いい意味での付和雷同になっている。 このような取り組みは,いつから行われているのかというと,2004年から,片田先生が三陸地方の自治体に「取り組みませんか」62

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