信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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が,接種率の低さとして現れていることは確かです。インフルエンザの予防接種 感染症でもう一つ,インフルエンザの予防接種を見ておきます。1976年に集団接種が義務化になります。ですから,小中学校で強制的に打つわけです。しかし,1987年以降,ほかのワクチンなどの副作用が社会問題化したので,保護者の同意が必要となり,さらに1994年の法律改正によって,任意接種化後は,接種者が極端に減りました。 インフルエンザ・ワクチンの有効性に関して疑問を持つような見解もありますので,その辺を踏まえた上ですが,2001年以降は,政策がもう一度転換して,高齢者に関しては定期予防接種の対象としています。 そもそも児童や生徒を対象に強制接種したのも,彼らを防波堤にするという発想があったということです。正の外部効果です。もちろん学校での集団感染を防ぐのが第一目的ではありますが,第二目的は,家庭の高齢者にインフルエンザをうつさないこと。子どもたちが,インフルエンザに対する免疫を持つならば,周りが免疫を持った人で囲まれるならば,その老人たちも守られるというように,子どもたちを防波堤にしようという意図があったようです。 しかし,子どもたちにワクチンを打っても,それほどの免疫力はないといいますか,かかってしまうのです。もちろん,打たないよりはましですが,打ったからといってかからないということにはならなくて,かかってしまう。 むしろそうであるならば,高齢者がかかると肺炎など深刻な症状になり命を落とすことにもなるので,2001年以降は,マラリアのDDTではありませんが,わりと合理的になってきました。高齢者59

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