信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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大幅に下がりました。 一昨年になりますが,風疹が流行って,罹患した妊婦から障害を持ったお子さんが生まれてくるということが社会問題になりました。実は,10年前の2004年に風疹が流行したときに,専門家が厚労省の会合で警告していました。しかし,その警告が生かされることはなかった。「ワクチン接種率が不十分であると,感受性者はそのまま蓄積し,近い将来わが国でも1999年にギリシャで認められたような全国規模の風疹流行が危惧される。特に2001年度感染症流行予測調査で抗体保有率が低かった15歳女性は,2003年には17歳となる。79年4月2日~87年10月1日生まれの男女全員に対する風疹ワクチンが予防接種法に基づいて行われていることはよく知られておらず,接種率は低い」 国立感染症研究所「風疹の現状と今後の風疹対策」(2003年5月)報告(一部抜粋) 上記の国立感染症研究所の報告書で指摘されていたように,当時若年層女子の抗体保有率が低いことは分かっていたのですが,それを放置した結果,彼女たちが結婚適齢期になったら,ああいう問題が起こってしまった。これは,予想された人災と言うべきものです。 結局,それ以前に,混合ワクチンの副作用などが社会問題になって,裁判でも原告勝訴が出たりして,混合ワクチンの有効性が疑われるようになった。そうすると副作用の責任を回避したいので,任意接種というやり方に変更してしまった。感染症を予防することが本来の使命であるならば,とるべき行動は強制接種であるはず。そして,実際の行動も「強制」が正しい決定と考えられるにもかかわらず,実際の行動は「任意」にしてしまって,感染症の拡大阻止の55

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