信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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虐待児童の救出問題 今度は児童虐待の話です。図表15から,正しい決定は虐待児童の救出であり,「介入」×「介入」のところですね。同じく,「放置」×「放置」も正しい措置になります。それほど深刻な問題ではない場合には,放置しておけばいいということもある。これは,不必要な介入を避けられたということになります。 「児童虐待防止法」では,一般人にも,虐待を受けたと思われる児童がいる場合には,通報義務を課しています。それが間違っても民事上も刑事上も責任は問われない。そうすると,何か疑いありと思ったら,市民が積極的に通報します。それによって,本来介入すべきときに放置することで,虐待の激化や児童の死亡という最悪の事態を招くことを回避する。この不作為の過誤を回避したいから,特に問題もない親子の件で通報がいってしまうようなミスくらいは許容しましょう,ということです。図表15 虐待児童の救出問題出所)手塚(2010)25頁を参考に筆者作成。とるべき行動介入放置実際の行動介入正しい決定(虐待児童の救出)作為の過誤(健全な親子を離反) 放置不作為の過誤(虐待激化・死亡)正しい決定(不必要な介入を回避)  53

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