信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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(4) 作為による過誤と不作為による過誤医薬品の承認問題 図表14を見てください。医薬品の場合,行政のとるべき行動として,「承認」と「棄却」があります。それを医薬品として認めるか,認めないか。実際の行動と組み合わせたとき,「承認」×「承認」と,「棄却」×「棄却」と,そろうところは正しい決定になります。承認×承認の組み合わせであれば,効果のある医薬品が市場に流通したことになります。一方、棄却×棄却の組み合わせであれば,副作用の深刻な薬が市場に出回るのを防ぐことができたということです。どちらの場合も望ましい医療行政ということになるわけです。 しかし,なかなかそうはいかなくて,ミスを犯します。一つが,本来,棄却すべきところを承認してしまったために,副作用が深刻な薬が市場に出回ってしまったという問題。もう一つが,そういうことを避けるために慎重に行動したことで,とるべき行動は本当は承認ですが,棄却してしまった。これは,本来必要な医薬品が市場図表14 医薬品の承認問題出所)手塚(2010)25頁を参考に筆者作成。とるべき行動承認棄却実際の行動承認正しい決定(効果のある医薬品が市場に流通)作為の過誤(副作用の発生)棄却不作為の過誤(必要な医薬品が許可されない)正しい決定(副作用の発生を回避)  51

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