信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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覚え方のコツ どのエラーを第1種のエラーと呼び,あるいは第2種のエラーと呼ぶのか。紛らわしくなることがありませんか。対策として覚え方のコツを教えます。 もともと,これは判断エラーです。判断を基準に考えればよいのです。「ある」と判断したら,なかったというのが,1のエラーです。「ない」と判断したら,あった。これが2のエラーです。1,2は,単に順番の問題です。判断エラーを問題にしているわけですから,ある・ないの判断の順に1・2の番号を対応させておけば,記憶が混乱することはないと思います。私自身そうやって克服しました。判断エラーのトレード・オフ 話を製品の抜き取り検査に戻しますと,本来は不合格になる不良品が,合格して世の中に出ては,まずいわけです。致命的な欠陥がある商品が市場に出たらまずいので,2のエラーは下げたい。こう考えて,品質検査の感度を高める,不良品を絶対に見つけるぞ,と検査を厳しくする。 そうすると,本来は良品のものを不良品としてはじいてしまう可能性も上がります。2のエラーを避けようとすると,1のエラーが上がってしまう。この場合,どちらのエラーを下げることが重要なのかという価値判断になります。 医療の場合もそうです。偽陽性と偽陰性のどちらの数を減らすのが重要かといったら,これはわりと自明的なことです。がんを逃してはまずいわけです。だから,がんにかかっていたら,高い確率で陽性でないとまずい,取りこぼしてはまずいのです。最初の検査では,偽陰性になるエラーを減らす。がんの人は「がん」と出るよう49

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