信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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れがvalue of statistical lifeです。あくまで特定個人ではなくて,10万,100万という一定の人口規模に適用されるときの死亡リスクの価格です。 統計的生命価値(VSL)は何に使えるのか。実は環境汚染対策などの政策の効果を金額で評価できるようになるのです。このことを演習問題で確認してみましょう。(8) 演習:大気汚染対策の費用便益分析演習問題 次の問いに答えてみてください。問1 現状から10万分の1の死亡リスクの削減が可能となる大気汚染対策への支払意思額が5,000円のとき,統計的生命価値を求めなさい。問2 この大気汚染対策によって,150人の死亡が回避できる場合,汚染対策の便益を求めなさい。問3 500億円の費用を投じて,この大気汚染対策を実施すべきか。 よろしいでしょうか。答えを見ていきます。問1は,5,000円が支払意思額で,それによって10万分の1のリスクが削減できますから,5,000円÷10万分の1で,5億円です。だから,統計的生命価値は5億円となります。 問2は,大気汚染対策をすることによって,150人の亡くなる人を避けることができるとある。そうすると,統計的生命価値が生きてくるわけです。統計的生命価値を使うことで,回避できた死亡者24

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