信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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示できるように,5分の1にしてあります。確率で割り算する理由を直感的に理解できるように図解してみました。そうすると,Aさんが,現状よりも5分の1死亡リスクが上がるということなので,5等分したうちの1個が上乗せされています。それを5人分集めると,5分の1×5=1で,確率が「1」になる。ちょうど人一人分が確実に死ぬ大きさになるわけです。5分の1のリスクの対価は5,000万円なので,5個集めると2億5,000万円になります。つまり,各人の死亡リスクの増分を足し合わせて,確率が「1」になったところでの,リスクの金額評価の合計が,統計的生命価値です。 皆さん共通して5分の1の死亡リスクに5,000万円という値段を付けているので,それらを足し合わせた結果,確実に死ぬリスクの価格が2億5,000万円ということになるわけです。 計算としては,受け入れ補償額÷死亡リスクの増加分,5,000万円÷5分の1です。分母が分数になっていますから,結局は5,000万円×5と逆数の掛け算になって,2億5,000万円になるわけです。ここで見たように,死亡リスクの増加率の逆数が必要な人数です。5分の1なので,5人集めれば1人分になります。実際の計算 実際には,統計的生命価値の計算は,1,000分の1とか,もっと低い数字でやります。また,支払いと補償という二つのパターンがあります。つまり,リスクが減るなら支払ってもいい。年間死亡率が,今よりも1,000分の1減るなら,10万円払ってもいい。あるいは,今よりも1,000分の1,死亡リスクが上昇する代わりに,10万円補償してもらいたい。そういうものが受け入れられた場合に,この人が考えている統計的生命価値は,10万÷1,000分の1=1億円。こ23

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