信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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減しようとするのは,乾いた雑巾をさらに絞るではありませんが,残りごくわずかなリスクを削減するための追加的な費用は,とても大きくなる。そうすると,ほかにもリスクがある中で,そちらに回す費用,資源が足りなくなってしまう。これでは合理的な判断とは言えないわけです。比較の基準をつくる つまり,あるリスクを単独で見ていると,そのリスクの大きさがどの程度なのか客観的な評価ができません。どうしても主観的なバイアスがかかりますから,それを取り除くためには,ほかのリスクと比較してみる。それが,バイアスにとらわれない,バイアスを抑える一つの工夫になります。 複数のリスクを比較するためには何らかの基準が必要です。死亡率や発がん率,損失余命は,このような比較の基準として使われています。統一的にさまざまなリスクの大きさを比べてみましょう,リスクの尺度を決めて測ってみましょう,ということです。 図表5はその一例です。人口10万人当たりの年間死亡者数を示した表で,単位は人です。がんで10万人当たり250人が毎年亡くなる。リスクの種類死亡者数がん 250自殺 24交通事故 9火事 1.7自然災害 0.1落雷 0.002図表5 10万人当たりの年間死亡者概数出所)中谷内(2006)118頁を参考に筆者作成。12

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