信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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のりしろを取れば,100万回に1回くらいの頻度は受け入れましょう,という提案です。これは,生活実感としても,そんなに無理なことは言っていないわけです。 生涯に1回あるリスク,それがどのタイミングで来るのかはあるのですが,累積していくと,寿命を全うするころにちょうど死が訪れるということと,つじつまが合うような,あるいは,ちょっと余裕を持ったかたちでのリスク基準が10-6,これが一般の人には適用されます。職業リスクの場合には,それをもうちょっと受け入れるということで,10-5という一桁上がったリスク水準です。確率の大きさを実感するには ところで,確率だけだと,10万分の1とか100万分の1と表現されてピンと来ません。年間死亡率が10-4,すなわち1万分の1のリスクは,小数で示すと0.0001。確率0.0001の死亡リスクと言われても,生活実感から外れているのでピンと来ないわけです。 これがどれくらいなのか。実感するためには,対象となる人口規模と掛け算してみることです。日本の人口1億2,000万人に適用すると,毎年1万2,000人が死ぬ。これは,すごいリスクです。交通事故死の2倍,東日本大震災の半分の人数が毎年死んでいくという,とんでもないリスクです。だから,1万分の1のリスクというのは,とてつもなく高リスクだということになるわけです。定量化のメリット 次に説明しますように,このように数字で表すことによって,異なるリスクが相互に比較可能になります。いろいろなリスクが,発がんリスクがいくつなのか,死亡率がいくつなのかというかたちで整理される。9

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