信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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は,重大性が中程度だけれど,よく起こる。これは,Aに次ぐ管理対象です。 最後はEで,可能性も低いし,起きたとしても重大性は低い。このEについては,リスク論では,切り捨てると言いますか,そこに資源は割かない。全部に配分する余裕がない場合には,めりはりをつけた配分をするということで,重要度の高いものから優先的に資源を割り当てていき,受け入れてもいいだろうというリスクに関しては許容するという,ある種の見切りのようなところがある。これは是非が分かれますが,リスク論のある種の合理的な割り切りは,そこにあるということです。(3) リスク論の基本的な考え方エンド・ポイントを定める ここで基本的な考え方を確認しておきますと,このようなリスクは,定量化,主に確率で表現される。できなければ,三段階,五段階などに区分して,主観的ですが,そういうかたちで測定できるようにすることで,定量化する。 そして,リスク論では,「エンド・ポイント」という,どうしても避けたい目標を考えます。主として「死」,それに次ぐ認識をもたらす「発がん」。環境リスクでは,発がんリスクが多くの人が避けたいと思っているエンド・ポイントです。先ほど,環境リスクは価値観の対立が激しいと言いましたが,誰もが死は避けたい,がんにはなりたくない。ということで,多くの人に共通する回避対象だろうということで,ここに目標を定める。 マネジメントでは,目標が共有されるとか,目標が明確になることが重要ですが,環境リスクのマネジメントにおいても,そういう意味では,避けるべき目標が,「発がん」とか「死」とか定義され7

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