信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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これが確実な世界というものです。しかし,現実の世界では,多くの場合,不確実な状況のほうが一般的かと思われます。確率計算と狭義のリスク 不確実な状況は,さらに三つに分かれています。まずリスク下,狭義のリスク下は,確率計算ができる場合に限定しています。もちろん不確実なので,ある選択肢と,その選択肢から生じる結果が一対一に対応していない。たとえば,何か製品開発をしても,それをしたから必ず成功するとは限らずに,失敗という結果もあり得ます。この場合には,研究開発という選択肢を選んで,成功という結果も出れば,失敗という結果も出るというように,「結果」が二つのパターンになっている。これが8割の確率で成功し,2割の確率で失敗するというように,事前に確率が分かっている状況,あるいは確率として計算できる状況が,狭義のリスクの世界になります。この狭義のリスクの枠の中で,意思決定や議論がされることが多いです。不確実性――確率が不明なとき さらに不確実性の中には,そもそも確率がどのような値になっているのか事前には分からない確率不明の状況があり,これを厳密には「不確実な状況」と言っています。「リスク」も「曖昧」も「無知」も全部,不確実ですが,確率が分かるものを「リスク」と呼んで,分かっていないものを「不確実性」と呼んでいます。曖昧と無知 この「不確実性」は,さらに二つに分かれます。結果がどういうものか一応分かっている,起こる確率は分からないが,結果がどういうものかが分かるのが「曖昧」な状況で,そもそも何が起こるか3

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