西村 玄矢

一日一生。毎日正しく、優しく、真剣に。

短期留学

西村 玄矢さん

人文学部 人間情報学科
留学種類:交換留学
留学期間:2014年8月~2015年5月
留学先:アメリカ カリフォルニア州立大学チコ校

留学先大学について

カリフォルニア州立大学チコ校は、サンフランシスコから内陸方面へ車で三時間ほど運転したところに位置しており、自然環境は松本市に非常に似ているところがあります。例えば、チコ校は美しい自然に囲まれており、秋の紅葉は特に美しく、かつては全米で最も美しいキャンパストップ5として選ばれた経歴もあるそうです。キャンパスの中へ足を運んでみると、敷地内はかなり広く、最初の数週間は場所を覚えることに苦労することになるでしょう。

そんなチコ校ですが、自然の美しさに加えて、チコ校ならではの良い点が三つあります。

一点目は、生徒の多様性についてです。チコ校は、留学に力をいれていることもあり、多くの国から留学生を引き受けています。同じ日本人同士でも、考え方や個性はさまざまなのに、それが国レベルまで広がっていくと、違う価値観を持った人ばかりで、チコは、刺激的な人との出会いに満ちていました。

二点目は、ダウンタウンがキャンパスに隣接しているという点です。レストランや郵便局、お店などはすべてダウンタウンの中にあるため、大学からすぐに足を運べて便利です。大きいスーパーや安いお店を求めると、キャンパスから少し離れたところになるのですが、学生なら無料で使えるバスがダウンタウンから出ているため、それを利用することができます。

三点目はキャンパス内にあるジムについてです。これが当初一番驚いたことなのですが、チコ校のジムは非常に広く、設備もかなり充実しているのです。留学した際には、英語力だけではなく、筋力もつけることができるでしょう。

学習面について

学習面は、留学生ならだれでも最も苦労することの1つではないでしょうか。私も前期は、特に苦労しました。理由は三点あります。

一つ目は、宿題の量が多いことです。アメリカは、日本に比べて教科書を用いての事前学習を重視する傾向にあるという印象をうけました。というのも、授業はすでに教科書を読んであることを前提に進んでいき、用語の細かい説明などは省かれることが多いからです。教科書の事前学習に加え、論文をまとめたり、質問に答えたりといった課題もほぼ毎回与えられるため、課題の要領に慣れてくるまでは、自由時間を確保することはほとんどできないでしょう。

二つ目の理由は、授業中・宿題ともにスタイルが日本の教育とは違うことです。自分の専門は心理学なので、心理学系が中心の授業をとっていたのですが、授業中は生徒内のディスカッションを中心に進められていくことが半分近くありました。教科書を事前に読み、質問に答え、自分の回答と他の生徒の回答を比較しあっていくのです。アメリカ人生徒の話すスピードは速く、最初の頃は本当に苦労しました。臨床心理学の授業では、YouTubeを用いて、自分の動画を毎週作成する課題などもあり、日本の教育スタイルとの違いを肌で実感することもありました。

三つ目の苦労は、教授の話している英語が理解できないことでした。生徒に比べればゆっくりとはっきりと話してくれてはいるのですが、それでも聞き取れないことは多々あります。ただ、それでも教授と仲の良い関係を築くことができたのは、授業中の録音の許可を求めたり、メールで質問をしたり、オフィスアワーや授業後に分からないことを聞きに行ったりといった姿勢を示すことができたからだと思います。今思うことは、英語が理解できないのは当たり前のことで、質問することは恥ずかしいことではないということです。もし分からないことがあれば、開き直って生徒や先生に積極的に質問するようにしましょう。そうすれば、英語を聞き取れない苦労が、返って良好な関係を築いていくための助け舟になるかもしれません。

生活について

快適な生活を送ることができると思います。交通に関しては、前述したとおり、ダウンタウンがキャンパスに隣接しており、無料バスもでているため、自転車さえあれば何不自由なく生活することができると思います。気候に関しても、夏場は40度近くまで気温はあがりますが、湿度は低く、むしろ日本の夏よりも過ごし易かったです。冬もそこまで気温は低くならないため、コートが一枚あれば十分でした。

ただ、日本食に関しては間違いなく恋しくなると思います。スーパーに行けば食材は手に入ることは入るのですが、値段は高く(円安の影響もあり)、品数もすくないため、あまり期待はできません。留学前にスーツケースに詰めるだけ詰め込んでいきましょう。

留学で得たこと

留学で得られた宝物は、三つあります。

一つ目は自分に対する自信です。日本語が使えない環境の中で、アメリカ人と同じ条件で学び、競い、そして結果を残してきた中で、乗り越えてきた自分に対する達成感と自尊心が生まれました。挑戦の数だけ失敗した経験もたくさんありましたが、失敗に対して、いい意味で開き直ってコツコツ取り組んできた中で、自分に対して肯定的になれました。

二つ目は、意外に思われるかもしれませんが、日本に対する理解、そしてそれに基づく愛国心です。安心して水が飲めること、道路にゴミが落ちていないこと、店員の態度が親切で丁寧なことなど、日本という国が素晴らしい文化を持っていると気付けるのは、日本から出てみて初めてだと思います。また、慣習や制度に関する話でも、現地の人と会話をしている中で、「じゃあ日本ではどうなの?」と質問される機会はよくあり、日本についてはよく振り返えさせられました。よく、『日本の常識は世界の非常識』と言われますが、私たちが当たり前のように享受しているその常識は、日本が世界に誇れるものであり、また同時に非常にありがたいものだと今になって思うのです。

三つ目に得られたものは友人です。初めの頃は、自分の英語力はまだまだだし、アメリカ人との考え方は違うし、自分にも自信はないし、といった言い訳を並べていたため、友人はほとんどいませんでした。しかし、留学生活も後半に近づくにつれ、自分が仲良くなりたい人、もっと知りたいと思うような人とも関係を築いていくことができました。これは本当に財産になりました。というのも、自分の周りの友人はほぼ全員キリスト教徒でしたが、考え方の基盤になっている部分が自分とはまるで違い、会話をしている中で当然反発心と好奇心が生まれるのですが、それを乗り越えた後に生まれる納得心は、自分を大きく変化させてくれたためです。留学している人が全員口を揃えて言う「視野が広がった」という経験はまさに、かけがえのない友人達によって得られたものです。以上、自信、愛国心、友人が留学生活を通して得られた私の宝物です。

後輩へのアドバイス

「海外に対して、具体的な強い思いや目標はないけど、何となくの興味や憧れはあって留学しようかどうか迷っている。」という考えは多くの人が持っていると思います。多くの人が、「留学は手段であり、留学の後を見据えた目標が必要である」というかもしれませんが、私は、もし留学するだけの金銭的な余裕があるならば行けば良いと思います。今まで日本だけで生活してきた人は、留学という選択肢を前にしたときには、自分の興味のある国で経験できる文化、英語や専門分野の勉強、様々な国の友達、グローバル人材として活躍していく自分像など、きっといろいろな空想が浮かんでくると思います。しかし、空想は、空想でしかなく、実際に現地に行けば、今までとは全く違った環境に行くのですから、新しい価値観、考え方に触発され、自分が変化することが起こるはずですし、それが留学の醍醐味だと思います。そして結局のところは、留学に行く前には思ってもいなかったような自分や新しい目標に落ち着くことになるのではないでしょうか。

私の場合は、自分が実際に留学する前までは、自分がキリスト教徒になること、ここまで仲の良い愉快で真剣な友人ができることなんて、思ってもいませんでした。まとめますと、自分がぶれないように、初めに確固とした信念や軸、目標を持つことはもちろん良いことですが、新しい考え方に直面した時に、柔軟に自分を変化させていくことも重要であり、それが留学での学びなのだと思います。軸を持たず、予想外の困難な現実に直面して、絶望しても、絶望は絶望で学びになるのですから、とても貴重なことだと思います。ですから私は、今の目標が漠然とした、「留学に行くこと」でも全然問題ないと考えます。そこで目標を見つければ良いのですから。大切なことは考える前に行動して、正確には、考えるために行動して、考えるための材料をまた探していくことだというのが私の考えです。