保健学科研究紹介2023
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―27―北川 孝 助教齋藤 直人 教授信州大学医学部保健学科卒業。金沢大学大学院医薬保健学総合研究科医学博士課程修了。2019年より信州大学医学部保健学科に着任。1988年信州大学医学部医学科卒業、1996年博士(医学)取得。2014年から先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所所長を兼任している。 整形外科疾患・運動機能障害に対する理学療法の研究を行っています。特に膝関節における外傷・手術後の疼痛や関節可動域制限の因子を同定すべく、基礎実験・臨床研究を行ってきました。今後はそれらの知見・手法を応用させ、基礎実験で培った知識を臨床現場や地域社会に還元できるような、トランスレーショナルな研究を行っていきたいと思っております。 また他施設の現場の方々とも連携し、整形外科疾患に関する臨床研究の実践や、それらに関する研究論文をまとめあげ解析するシステマティックレビュー・メタアナリシスも試みていこうと、現在フィールド・ネットワークの拡大に努めております。 バイオテクノロジー、生体医工学を専門に、以下のテーマを研究し、日本発世界初の生体材料・医療機器開発を目指しています。 ナノカーボンの生体材料応用:未だ解明されていないナノカーボンの特異な生体反応を、独創的なアイデアと技術で解明・活用・制御し、革新的な生体材料を創製します。特に癌転移骨を制御する生体活性付加ナノカーボンの開発に力を入れています。 骨再生の足場材料:新しい機能を持ったチタンファイバープレートの足場材開発等により、再生医療の発展に貢献します。 新しい人工関節・脊椎固定インプラント開発:骨と同じ弾性率、高い骨親和性、生体内で長期にわたり壊れにくい生体材料開発を目指しています。前十字靭帯再建術後患者における膝蓋下脂肪体のエコー画像(左上:健側、膝関節屈曲位/右上:健側、膝関節伸展位左下:術側、膝関節屈曲位/右下:術側、膝関節伸展位)超音波画像の撮像風景膝蓋下脂肪体の病理組織学的変化カーボンナノチューブ複合人工関節のイメージ抗癌剤とモノクローナル抗体を担持したカーボンナノホーン(CNH)(ラット膝関節矢状断)骨再生の足場材になるチタンファイバープレート研究から広がる未来 これまで経験的・主観的にしか評価ができなかった関節の機能障害(拘縮・癒着など)を定量的・客観的に評価することが可能となれば、それまでの伝統的な治療手技・テクニックを根底から覆す可能性があると思われます。従来の理学療法にとらわれない、新しい評価・治療ストラテジー(戦略)を考案していくことは、クリエイティブかつ非常に高いやりがいのライフワークになると思います。卒業後の未来像 基本的な評価・治療スキルを身につけると共に、海外の研究論文に基づく最新知見を収集する能力を身につけていただくことで最新の情報・エビデンスをアップデートしていく能力が得られます。共に理学療法のフロンティアを開拓していきましょう。研究から広がる未来 現在の課題を解決した新しい医薬品・医療機器を開発することにより、医療費削減、患者様の身体的負担の軽減に貢献することが出来ます。また多くの癌は骨転移の頻度が高く、骨に転移すると骨破壊により激しい痛みや生命予後が低下します。癌転移骨を制御する生体活性付加ナノカーボンの開発により、骨転移に苦しむ患者さんのQOLと生命予後を改善することが出来ます。卒業後の未来像 一緒に学び研究活動を行うことによって、課題設定力、実行力、理解力、課題解決力を持った世界で活躍できる人になることを目指します。卒業後は、大学研究者、教員、医療機器開発メーカー、医療機関で活躍できる人材を育成します。基礎理学療法学応用理学療法学理学療法学専攻超音波画像を用いた新しい理学療法学専攻革新的生体材料の開発により世界の医療を信州から変える理学療法評価方法の確立へのチャレンジ

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