保健学科研究紹介2023
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―23―山内 一由 教授木村 文一 講師信州大学医療技術短期大学部卒、東京理科大学卒。信州大学大学院工学研究科修士課程・博士課程修了。信大病院臨床検査技師長、筑波大学医学医療系准教授を経て2021年より現職北里大学大学院医療系研究科で細胞診検査に関わる研究を学び、その後細胞周期関連タンパク、細胞増殖因子、画像解析技術(テクスチャ解析、機械学習)を用いた研究を行っている。アポEが関与する主な生体機能と疾患・病態アポEの主なアイソフォームの基本構造血清と髄液中のアポE当研究室で開発した機械学習機(メイン画面)分葉状内頸部腺過形成の細胞像(パパニコロウ染色)(ウェスタンブロッティング)アポEには主に3種類のアイソフォームE2, E3, E4 が存在し、その組合せによりホモ接合体とヘテロ接合体を併せて計6種類の表現型が存在する。悪性中皮腫の細胞像(パパニコロウ染色) 学生時代から臨床化学に興味を持ち、以来一貫して臨床化学に携わってきました。臨床化学は、分析技術を駆使して特定の生体成分の臨床的意義を解明しその成果を医療に還元していく学問です。すなわち、分析力を強みとする臨床検査技師が最も活躍できる領域であり、それこそが臨床化学の最大の魅力です。当研究室では、アポリポ蛋白E(アポE)という蛋白質を対象として、動脈硬化症やアルツハイマー病をはじめとするアポE 関連疾患の早期診断と予防に有用な臨床検査法の開発を目的として研究に取り組んでいます。特に現在は、酸化ストレスなどに伴うアポE 分子の翻訳後修飾が脂質代謝や免疫調節などの諸機能に及ぼす影響について分子レベルで解析しています。 AIを用いた研究-とりわけDeep learningは、症例数や解析内容が不明であるBlack boxが問題となっています。当研究室は12年のAI研究実績があり、工学系大学研究室と共同研究を行なっています。そのため基礎的な工学的手法を学ぶことができるのが特徴です。細胞周期関連タンパクに対してAI技術を屈指して新しい創薬の発見にも意欲的に取り組んでいる研究室です。大学院生を広く募集していますので、当研究室の研究に興味のある方がいらしたら遠慮なくご連絡ください。  共同研究先:東京工業大学 山口雅浩 研究室、千葉大学フロンティア医工学センター 羽石秀昭 研究室、北里大学医学部呼吸器外科 佐藤之俊 研究室など。研究から広がる未来 生体分子はその名の通り私たちが生きていくために必要な成分です。どんな分子でもその他多くの分子と相互に作用しながら何らかの重要な機能を担っており、その破綻に伴う疾患の発症にも必ず関わっています。もしかしたら着目した分子は疾患の発症にとって脇役なのかもしれませんが、その分子が関与する病態生理機能を追求すれば主役を突き止めることができ、当該分子の脇役としての重要性も明らかにできます。その成果は明日の医療に還元することができます。卒業後の未来像 医科学を検査技術科学の視座から学ぶことにより身に付く分析力が臨床検査技師の最大の強みです。卓越した分析力があれば、最新・最良の医療を提供することができますし、医療人としてのキャリアの可能性も大きく広がります。研究から広がる未来 悪性腫瘍は現在の死亡原因の第一位であり、その治療は早期発見に大きく作用されます。細胞診検査は悪性腫瘍の早期発見に大きな役割を果たしています。しかしながら、人の目による判断では病気の特定が難しいこともあり、コンピュータの目を用いた診断技術の開発や免疫組織化学といった最新の技術を駆使することで、病気の診断精度向上・治療に貢献できます。卒業後の未来像 臨床検査技師や細胞検査士(就職後、1年の実務経験もしくは細胞検査士養成コースにて取得する資格)として病院、検診施設、製薬会社などに勤務が可能です。また、大学院へ進学することで国内外の第一線の研究機関で研究者として活躍することができます。病因・病態検査学病因・病態検査学検査技術科学専攻アポリポ蛋白の臨床化学的研究から検査技術科学専攻AI・コンピュータの目で見る病理・細胞診断新しい臨床検査を創造すると細胞周期に関連するタンパク質解析

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