保健学科研究紹介2023
20/40

―18― 保健センターで保健師として働いていたとき、乳幼児健診や子育て相談の場で多くの親子やご家族と出会いました。少子化や核家族化が進む中、大変な育児を乗り越えていくためには、お母さんやお父さんだけでなく、地域社会全体が支え合って子育てをしていくことが重要です。 保健師は、地域の様々な職種や機関と連携し、健康な地域づくりを行う役割があります。現在、地域の子育て支援のネットワークに含まれている民生児童委員・主任児童委員さんの存在に着目し、子育て支援の活動の実態や課題、保健師に求められるサポートを探る研究に取り組んでいます。 病気や障害を持ちながらも、住み慣れた地域で、その人や家族の暮らしを見据えて、考え、行動できる看護師が求められています。治療優先ではなく、その人が望む生活、より安心な生活を送るために健康が必要であることを基盤に、心を支える専門職を育てたいと思います。身近な地域には支援を必要としている方が多くいらっしゃいます。その現状に気づくこと、できることはないか考えることが重要です。 私は、生活するために医療が必要で長期に渡る療養生活を余儀なくされている難病の方やご家族への支援、病院と在宅等の療養の場の移行する上での連携に関すること、災害弱者と呼ばれる災害要援護者支援体制作りに関すること等を主な研究テーマとして取り組んでいます。神戸 玲 助手長野県安曇野市出身。信州大学医学部保健学科看護学専攻卒業。松本市保健師として勤務。2021年に信州大学保健学科看護学専攻に着任。高橋 宏子 准教授千葉大学看護学部卒業。聖路加国際病院勤務。信州大学医療技術短期大学部助手、松本短期大学勤務を経て、本学保健学科看護学専攻に着任。群馬大学医学研究科修士課程修了。出典:厚生労働省 健やか親子21(第2次)ホームページより赤ちゃんの発育はどうかな?(演習の様子)学内での学生による模擬訪問看護演習の一場面学内まとめの一場面在宅看護実習のまとめ保健師コースの実習では、住民の皆さんに健康教育を行います研究から広がる未来 子育て家庭、特に母親の孤立は、育児不安、メンタルヘルスの不調、子どもへの虐待につながる恐れがあります。気軽に会って話ができる場、ちょっとお願いと言い合える関係、頑張っているねと言ってもらえる地域社会が大切だと考えます。子育てをしている家族も、その周りの人々も、笑顔で子どもを囲める、そんな社会を目指します。卒業後の未来像 保健師は市町村保健センターや企業などで、疾病予防、健康増進に取り組みます。幅広い世代の方とお会いし、暮らしを支えるために多職種と連携して支援します。常に疑問と根拠を持ち、よりよい支援を追求しつづけていける保健師を目指しましょう。研究から広がる未来 地域包括ケアの推進、地域共生社会を目標に、看護職の活動の場は地域に拡がっています。人々が地域で暮らし続けるために保健・医療・福祉の切れ目ない連携は益々重要になっています。私は、ICTを活用した多職種情報共有システムによる在宅チームケアに関する研究に取り組んでいます。安心・安全な生活を支援するための体制つくりを現場の看護職や他分野の方々と追及しています。卒業後の未来像 病院に入院している患者様は、地域で暮らしている方です。その方の理解や支援には、学生時代から地域や社会に関心を持ち、様々な場に積極的に出向き、経験する、様々な人と話す、聴く、一緒に考えるなどが重要です。それが看護の大きな力に繋がります。公衆衛生看護学在宅看護学笑顔で子育てができるように地域の子育て力を高めたい在宅看護学:病院中心の看護から、地域での生活と医療をつなぐ、支える看護へ看護学専攻広域看護学領域看護学専攻広域看護学領域

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る