保健学科研究紹介2023
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―9―加藤 茜 助教近藤 協子 助教The 23rd Joint Scientific Congress of the KSCCM and JSICMシミュレーターを用いた周術期看護の演習【2013年】山口大学大学院博士前期課程修了【2014年】急性・重症患者看護専門看護師取得【2020年】信州大学着任【2022年】東北大学大学院博士後期課程修了2013年 名古屋大学卒業看護師として6年間勤務2019年 信州大学着任2022年 信州大学大学院修士課程修了 突発的な事故に遭う、理不尽な暴力にさらされる、本人が予想もしていなかった経過で終末期を迎える… 救急領域や集中治療領域などのいわゆる“クリティカルケア領域”には、自分では避けることができない状況により多大な苦痛を感じている患者さんやそのご家族が少なくありません。私はそのような患者さんやご家族の苦痛を少しでも軽減できるよう、また、医療者の対応により苦痛が大きくなってしまわないよう、現在の課題や障壁となっていること、提供されている看護の質、必要とされる教育プログラムやシステムの整備などについて調査・研究を行っています。また、発展途上の分野ですので、看護師を中心に普及活動も行っています。 私は脳神経外科病棟で働いていた時に、麻痺などの後遺症を抱えたまま退院される多くの患者さんと出会い、その後の生活を支える仕事がしたいと思って訪問看護師になりました。そして、住み慣れたご自宅でご家族と共に生活することの大きな意味と、病院とは異なる環境で療養することの難しさを学びました。 入院前から入院中、さらに退院後も患者さんの生活は続いていきますが、ほとんどの看護師はその中の一場面にのみ関わります。そこで重要になるのが「連携」です。病院と地域がシームレスに連携し、患者さんとご家族の生活を支える仕組みを作るための研究に取り組んでいきたいと思っています。出典:ニプロ(株)ホームページ18th 日本クリティカルケア看護学会学術集会シンポジウム上:24th日本救急看護学会学術集会下:50th日本集中治療医学会学術集会地域包括ケアシステムとは出典:厚生労働省ホームページ植込型補助人工心臓研究から広がる未来 患者さんやご家族の苦痛が軽減することは、その後のQuality of Life(QOL)を向上させます。それと同時に、患者さんやそのご家族だけでなく医師や看護師のモチベーションや満足度の向上、バーンアウト(燃え尽き症候群)の低下、QOLの向上にもつながります。 将来的には、クリティカルケア領域であっても緩和ケアを行うことが標準ケアとして定着してくれることを願っています。卒業後の未来像 人の人生の岐路に立ち会う仕事は、そう多くありません。手術や出産、死別…、およそ人生に数多くは起きないであろう場面に立ち会うことが許される看護職の醍醐味を、ぜひ経験してください。そして、看護に迷ったときは大学院で学びを深めてください。研究から広がる未来 植込型補助人工心臓を装着した患者さんの在宅療養支援について研究しています。 植込型補助人工心臓は重症心不全患者の在宅療養を可能にした医療機器です。装着者数は年々増えていますが、装着者の社会復帰には未だ様々なハードルがあります。「自宅で療養できること」の次は「その人らしく生活できること」を目指して、支援体制を構築していく必要があります。卒業後の未来像 少しずつでも学び続けることが大切だと思っています。色々なことに興味を持ち、どんどんチャレンジし、多くの人と出会って視野を広げてください。自分なりのやりがいを持って、生き生きと働く看護師になってほしいと思います。成人看護学成人看護学さまざまな苦痛を抱える患者さんやご家族に、よりよい看護を提供する病院と地域が協力して患者さんを支える体制を作る看護学専攻成人・老年看護学領域看護学専攻成人・老年看護学領域

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