繊維学部研究紹介
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教員紹介新井亮一研究室では、タンパク質の構造や機能を深く理解し、有用な改変・人工タンパク質を設計・開発・応用する研究を行っています。タンパク質を見る:主にⅩ線結晶構造解析法を用いてナノサイズのタンパク質の立体構造を解明しています。タンパク質を調べる:様々な生化学的・分子生物学的手法を駆使して機能解析を行っています。タンパク質を創る:改変・融合・人工タンパク質をデザイン・創製する研究を行っています。タンパク質を応用:有用なタンパク質を開発し、生物工学や環境問題に役立つような応用を目指して研究を行っています。新井研究室では、X線結晶構造解析法、様々な生化学・分子生物学・遺伝子工学的手法等を駆使して、天然タンパク質の構造や機能の理解を深め、さらに、有用な改変・融合・人工タンパク質を設計・開発する研究を行っています。持続可能な未来社会へ向けて、医薬品開発やバイオテクノロジーへの応用をはじめ、タンパク質をエコフレンドリーな高機能ナノ材料やグリーンケミストリー触媒、高感度バイオセンサーなどの新分野へ応用展開することを目指して、学生自らが主体的に日々研究に取り組んでいます。タンパク質科学は、生物学、化学、工学、医学、薬学、農学、物理学、情報科学と多様な分野にまたがる複合研究領域であるため、卒業後様々な分野での活躍が期待できます。例えば、食品会社や製薬会社、化学会社をはじめ様々な業種への就職が考えられます。実際に、これまでの卒業生は化学、製薬、生物系会社等に就職し多様に活躍しています。新井亮一准教授理化学研究所や米国プリンストン大学で研究員を務めた後、2007年12月に信州大学に着任。研究分野はタンパク質の立体構造解析・機能解析を行う「構造生物学」、及び、タンパク質の改変やデザインを行い、応用を目指す「タンパク質工学」。研究室での実験風景(左上)、微生物で有用タンパク質を生産(右上)、宝石の輝きタンパク質結晶(左下)、放射光施設でⅩ線回折実験(右下)人工タンパク質ナノブロックによる自己組織化ナノ構造体の創出(Kobayashi, N., et al.,J. Am. Chem. Soc., 137, 11285‐11293,2015)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科タンパク質の形と働きを詳細に探究し、有用タンパク質の創出と応用に挑戦!49エビガラスズメ緑色幼虫。エビガラスズメは日本の至る所に生存する大型のチョウ目昆虫。サツマイモの害虫でもある教員紹介普段目にする「むし」の何気ない現象にも未知の機構がいっぱい。白井研究室では、そんな昆虫の持つ優れた能力を研究することで、将来、私たち自身の生活に役立てようと考えています。例えば、アオムシの色。アオムシは昔から緑色と決まっていますが、ではどうやって緑色になっているのでしょうか?研究を続けると、私たちヒトの様々な疾患の原因ともなる、タンパク質の分泌制御機構が関わっていることが分かってきました。近い将来、昆虫から学んだ知見から人間の病気を治すヒントが得られるかも。タンパク質分泌の制御機構は、現在最も注目されている研究分野の一つです。ペプチドホルモンなどの分泌制御機構の破綻は、昆虫のみならず、我々ヒトにおいても極めて重大な影響を及ぼすことは想像に難くありません。しかし、その分子機構の解明は意外なほど進んでおらず、未だに多くの謎を残しています。白井研究室ではアオムシの緑色の研究を通じて、哺乳類細胞の研究とは少し違った角度から、この現象にアプローチしています。将来、糖尿病などの疾患の克服に、昆虫の研究が役立つことを期待しています。卒業後の進路として、一番多いのは食品や薬品のメーカー。卒業生の多くが大学で学んだ知識を基礎に、日夜新しい商品開発に励んでいるそうです。また、公務員として、国や県などの研究機関に就職している卒業生が多いのも、この研究室の特徴です。白井孝治准教授農林水産省蚕糸・昆虫農業研究所COE特別研究員、信州大学助手等を経て、現職。専門は昆虫および昆虫細胞を用いた生理生化学および分子細胞生物学。幼虫の真皮細胞から抽出した色素結合タンパク質。このタンパク質にタンパク質分泌制御のヒントが!研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科昆虫の優れた能力と生存戦略を追究し、日々の生活に活かす!

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