繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介体の状態から品質検査まで。触れずに「計る」、光の不思議未来の医療では、採血せずに血糖値を計ることが可能!?それを実現させるのが、石澤研究室で行っている光学的非侵襲血液検査システムの開発。赤外線を体に照射することで皮膚組織中の分子を振動させ、そこから得られる赤外吸収スペクトルから血糖値を計るという技術です。これにより患者さんが自宅で定期的に測定することも可能になり、測定値データを病院へ送付することもできます。もちろん医療分野以外での応用も可能。輸入製品に有害な物質が含まれていないかを検査する際でも、抜き取り検査ではなく全製品の品質検査ができるなど、さまざまな活用法が考えられます。石澤研究室では、光学的血液検査の開発以外にもさまざまな研究を行っています。鉄素材を扱う工場などで必要とされる鉄の表面の粗さの数値化や、薬品を使わないとできなかった衣類の混用率の測定も「光」で瞬時に行うことができます。技術としてはある程度確立されているので、今後は計測の精度を高めていくことが一番の課題。研究室では、学生たちがこれらの実験・研究に日々参加しています。計測器や医療機器、精密機器を扱う企業の他、家電メーカー等にも卒業生を輩出。「より良い研究開発のために社会のニーズを知ることも必要。研究以外の仕事にも挑戦するように」と、日頃から学生たちに指導しています。石澤広明教授株式会社島津製作所、社団法人長野県農村工業研究所等を経て、2014年より現職。研究分野は計測工学や応用光学。研究から広がる未来卒業後の未来像光ファイバーを使えば、普段のコンディションを容易にデータ化できる。それをITで医者と共有すれば、超高齢化社会に大いに役立つ肌に触れていることさえ忘れてしまうほど極細の光ファイバーでバイタルサインを計る。採血のように痛みを伴うことなど全くない先進繊維・感性工学科先進繊維工学コース教員紹介大越研究室では、主に溶融紡糸・延伸による高性能・高機能な合成繊維の製造方法に関する研究・開発を進めています。特にレーザー光を利用した繊維製造によって、生産の高速化、省資源・省エネルギー化に加え、これまでは作れなかった超極細繊維や直径や内部構造を精密に制御した繊維などが作れるようになり、また繊維の構造や性質ができていく過程を詳しく調べられる様にもなりました。研究によって得られた繊維は、医療、光学部財など多くの用途への展開が期待されます。新しい繊維と新しい繊維用途開発を目指して、日々研究に励んでいます。繊維は、もともと鋼鉄よりもはるかに強くて軽く、しかもしなやかに曲がり、表面積も大きい、高機能な材料です。最近ではより高性能・高機能な合成繊維が数多く開発され、航空機・自動車の機体や車体、人工臓器、光学機器、スポーツ用途等に使われ、軽量化や高性能化によって地球環境負荷の低減や人間生活の快適化に役立っています。特に日本の合成繊維企業は、多くの高性能繊維で世界をリードしています。卒業後の進路は、就職先として合成繊維企業をはじめとする素材メーカーを選択する学生が最も多いですが、繊維を使う側のタイヤメーカーや電機メーカー、評価する側の地方公設試に勤めた卒業生もいます。大越豊教授信州大学繊維学部助手、講師、助教授を経て、2006年より現職。研究分野は繊維・フィルムなど高分子材料の成形加工、および得られた繊維などの光学物性や力学物性などの雑学。研究から広がる未来卒業後の未来像写真サイズ高さ9.8cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm先進繊維・感性工学科先進繊維工学コース高性能・高機能な合成繊維を作る8

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