繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科クモやカイコの作り出すシルクはタンパク質で構成され、強さと延びを兼ね備えています。クモの糸に関しては、ヒトの髪の毛の約10分の1の太さでありながら、直径3mm程度まで集めると、体重60kgの人間を支えることができます。しかし、天然のクモやカイコの糸を人工的に創り出すことは未だ困難です。クモやカイコは小さな体からは想像できないような精巧な仕組みで、水素イオン濃度、塩濃度、水分含量、溶液の射出速度を変化させていると考えられていますが、詳細は未だ分かっていません。長い年月をかけて進化したクモやカイコが作り出すシルクの神秘を、学生の皆さんと共に分かち合い、得られた知見を産業応用に役立てます。国立大学で唯一の繊維学部で、クモやカイコのシルクの研究を通じ、仮説を実験で証明する楽しさを共に分かち合いたいと思います。自分で計画を立てて実験し、得られた結果をチームの皆で討論した経験を生かして、皆さん一人ひとりの個性が社会で発揮できることを目指しています。矢澤健二郎助教東京工業大学で博士号を取得後、山形大学での博士研究員、理化学研究所での特別研究員を経て、現職。分子生物学と高分子化学の2本立柱で、クモやカイコのシルクの神秘を解明したい。サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmクモは体内でシルク溶液から糸へ変換する。サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cmクモやカイコの糸は軽く、強度と柔軟性を併せ持ち、細胞毒性が低く、まさに「夢の繊維」です。射出過程に高熱を必要とする化学繊維の製造過程と比較して、クモやカイコは常温で糸を射出します。クモやカイコの糸の製造過程を解明し、人工シルク糸を創り出すことができれば、産業応用が可能です。クモやカイコが作り出すシルクの神秘に迫る!クモをスポンジの間にはさみ、脚を固定し、糸を取り出す。巻き取った糸は光沢があり、手で触れると、その強度を実感できる。54

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