繊維学部_研究紹介2020
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動物細胞の免疫を活性化する枯草菌由来成分の探索も進行中写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm微細な変化も見逃さないように電子顕微鏡でも観察します写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm教員紹介枯草菌(納豆菌の類縁菌で産業的にも重要な細菌)は古くから研究されている土壌細菌であり、病原菌から植物を保護したり、有機物の堆肥化や汚水の浄化などに役立っています。また産業面でも、酵素およびビタミン類、抗生物質等の有用物質生産に利用されています。山本研究室では、以前より枯草菌のゲノム解析(国際共同研究)に携わってきました。現在も、枯草菌が保持している約4,100遺伝子が担っている機能を解明するために、国内外の研究室と連携しながら、より詳細な研究が進行中です。このような研究を通して、枯草菌を一つの重要な微生物資源ととらえ、その理解を深めるとともに、さらなる活用に向けた取り組みを進めています。山本研究室では、枯草菌が持つ潜在能力を最大限に活用するために、細胞表層を修飾するテイコ酸ポリマーが担っている機能の解明や、分泌タンパク質がどのような機構により正しい位置に局在化されるのか等について研究を進めています。将来的には、類縁細菌が持つ遺伝子資源の有効利用や、病原性細菌の効率的な防除システムの構築等に応用できる技術の開発を目指しています。卒業後は食品関連会社や製薬会社に就職するケースが多くなっています。また、研究を通して得られた知識や経験を発展させて、国内外の研究機関でさらに研究を続けている人もいます。その他、行政機関や学校教員として、大学で学んだ知識を社会に広める立場に進むケースも見られます。山本博規准教授信州大学繊維学部助手を経て、2007年より現職。研究分野は、細菌細胞で機能している分子の性質を調べる微生物学や、枯草菌等の細菌が持っている潜在能力を活用するための応用微生物学。細胞表層を修飾するポリマー成分を変化させた場合、細胞にどのような影響が見られるか、蛍光顕微鏡等で観察しています研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科微生物資源の有効利用を目指す~枯草菌が持つ潜在能力の解明と応用~教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科生体組織から細胞を除去した脱細胞化組織は、医療機器として主に欧米で臨床使用され、患者さん自身の組織と馴染みやすいなどの性質が認められ注目されています。脱細胞化処理により、ブタなどの組織をヒトへ移植することが可能になり、異種組織、臓器の医療応用が期待されています。根岸研究室は、脱細胞化組織の特性を解析し、その要因を明らかにし、医療用材料へ応用することを目的としています。また、金属加工・食品加工技術で使用されている真空加圧含浸法は、溶液などを材料へ効率よく導入することを可能にする技術です。この技術を医療用材料に応用し、新たな性質を有する医療用材料の開発を目指しています。研究を通して自ら考え行動すること、チームとして作業することを習得してほしいと考えています。研究室での経験を活かして、様々な分野で活躍してくれることを期待しています。根岸淳助教東京医科歯科大学で博士号(学術)を取得、札幌医科大学で日本学術振興会特別研究員(PD)、株式会社ADEKA研究開発本部研究員を経て現職。生体由来材料の開発、解析を目的としている。(左)ラット頸動脈移植3日目の未処理ブタ橈骨動脈。(右)ラット頸動脈移植2週間目の脱細胞化ブタ橈骨動脈。脱細胞処理により、異種移植の拒絶反応を回避し、血管として機能している(A)凍結乾燥した脱細胞化組織を溶液に浸漬すると組織内の空気が抜けにくいため、不均一な溶液浸透になる。(B)真空加圧含浸法により、組織内の空気を除去した状態で溶液導入が可能になる。ローダミン(色素)標識したポリエチレングリコールが組織内部まで導入できていることが示されている(写真)。サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm脱細胞化組織などの生物由来材料は、複雑な生体組織構造を再現可能であり、患者自身の細胞による組織の再構築などが期待できる材料と考えられています。幹細胞医療などと併用することで、複雑な生体組織、臓器を生体外で作り出すことが可能になるかもしれません。また、医療材料開発に異分野の技術を転用することで、今までにない性質を持つ医療機器開発が可能になると考えています。生物由来材料の特性を解明し、新たな医療機器を開発する未処理ブタ橈骨動脈:閉塞脱細胞化ブタ橈骨動脈:開存53

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