繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介下坂研究室では、自然界に存在する多種多様な微生物の中から有用なものを探し、食糧・環境・エネルギーといった私たちが抱える問題の解決に役立てる研究を行っています。例えば、カニ・エビ殻由来のバイオマスであるキチン・キトサンを有効利用するために、強力な分解細菌を見つけて、その分解酵素について調べています。また、キノコの代謝物や酵素を有効利用するために、有用菌株の分子育種に取り組んでいます。小さな微生物のもつすばらしい機能に学び、バイオテクノロジーを用いて、その機能を大きく活かすことがねらいです。食品、酒類、薬品、化成品を扱う企業に就職する学生が多いです。微生物を実験材料にして、代謝、酵素、遺伝子などの多様な生命現象を学ぶことで、学生は生物を利用した産業に進み、研究や開発に携わることを希望しています。下坂誠教授1985年に信州大学繊維学部に助手として着任し、2004年より現職。専門は応用微生物学。大学の卒論研究から、細菌、酵母、カビ、キノコなど様々な微生物を扱ってきた。顕微鏡で観る微生物の世界は魅力いっぱいだが、最近は老眼で観察に苦戦中。実験に用いているさまざまな微生物の写真です。研究室の冷凍庫の中には1000種類以上の微生物が保存されています研究から広がる未来卒業後の未来像下坂研究室では、微生物を用いて有用な物質を作ったり、遺伝子工学技術を用いて有用菌株を分子育種するなどの応用研究を展開しています。小さな微生物には、まだ謎がいっぱい。実は、これまでに学名が付いた微生物は自然界に存在する微生物のわずか1%程度です。自然界は未知の微生物でいっぱいの宝の山です。すばらしい能力を秘めた未知の微生物との出会いが楽しみです。1.0 m 上田城の堀水から、新属新種の強力なキチン分解細菌を発見し、学名Chitiniphilus shinanonensisを付けました。微生物の遺伝子を電気泳動で調べる実験の様子です応用生物科学科小さな微生物のすばらしい能力を私たちの暮らしに大きく役立てたい教員紹介植物の持つさまざまな機能について研究している田口研究室。例えば、植物は作った物質に糖をつけて細胞の中に貯め、必要なときに糖を外して使う機能があります。この機能を、薬などの物質の加工に応用できないかと考えています。水に溶けにくい物質に植物の酵素を使って糖をつけ、水に溶けやすくしたり安定性を高めたりすることが可能になるのです。その他、私たちの健康に役立つ植物成分がどのように作られているのかを調べています。植物の機能を科学的に追究することで、私たちの快適な毎日につながっていきます。植物は周囲とのコミュニケーションのためにさまざまな物質を作り出しますが、それが、人にとっては薬となったり、いい香りだったりと、体に良い効能がいろいろあります。現在研究室で研究を進めている、植物が身を守るため有害な物質を無毒化する機能は、逆に環境浄化などにも使うことができます。こういった植物が持つチカラを研究し解明することで、私たちの生活に応用できることがたくさんあるのです。人や環境に有益な研究は幅広くニーズがあり、主に食品関連への就職が多い田口研究室。その他にも分析関連の業務を行う会社や、薬品関連、農業関連への就職も少なくありません。高校の先生として活躍している卒業生もいます。田口悟朗教授信州大学繊維学部や信州大学遺伝子実験施設で助手を務めた後、2019年より現職。研究分野は、植物の有用物質生産に関わる酵素反応や遺伝子解析、その有効活用を図るといった応用生物化学。研究から広がる未来卒業後の未来像桑の葉には、血糖値を下げるのに有効な成分が含まれている。その成分ができる仕組みについて解析をすすめているサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm抗酸化物質を含む身近なワサビの葉からDNAを抽出抽出した植物の遺伝子の塩基配列をパソコンで解析するサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm応用生物科学科知られざる植物のチカラ。暮らしを豊かにするその能力とは?46

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