繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介梶浦研究室では、カイコとその近縁種ヤママユガ(天蚕)の遺伝育種、脱皮変態、卵形成、系統関係を研究しています。遺伝育種の研究には、亜種と多数の産地別の系統が必要なので、それらを保存しています。このような努力が認められ、天蚕は高度なライフサイエンスの研究資源としてナショナルバイオリソースプロジェクト(文部科学省)に選ばれています。実際、天蚕の優良系統を育成し、天蚕糸産地の天蚕飼育を支援しています。わが国のシルク産業の再活性化につなげようと思います。梶浦研究室では、カイコや天蚕の新品種と新飼育技術を開発し、生糸・天蚕糸産地の活性化と日本のシルク産業の復興を目指しています。飼育に情報通信システムと太陽発電などを取り入れ、次世代の飼育体系とネットワークを構築します。研究から広がる未来は、家蚕生糸・天蚕糸産地の後継者育成、農商工連携事業の人材育成に協力し、シルク産業やさらに他の農作物の生産が活発に営まれるような未来です。大学院進学、繊維会社、食品会社、JA、地元企業、農学系公務員などで活躍しています。梶浦善太教授学位:農学専門分野:農学・応用昆虫、分子遺伝学、育種学キーワード:遺伝、育種、卵形成、バイオリソース天蚕の繭と糸天蚕の繭はきれいな緑色になる。天蚕の仲間は世界中に分布しているがこの色の繭は日本のものだけである。天蚕糸は貴重で高価なものである。研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科蚕・野蚕の遺伝資源を活用し、国産糸のブランド化に利用します大型天蚕系統の育成に成功した。上段は普通天蚕系統、下段は大型天蚕系統である。取れる糸量は増加し、1kgの天蚕糸を得るために、普通天蚕系統で3,000個以上の繭を必要としたが、大型天蚕系統はおよそ2000個の繭があればよい。遺伝子の本体であるDNAの構造、発癌物質や活性酸素で傷ついたDNAとそれを修復する酵素について研究しています。DNA修復酵素の中でも特に二つの異なるDNAの傷に働く酵素について、タンパク質工学や構造生物学の観点から研究しています。修復酵素がDNAの損傷箇所をどのように見つけ出して、結合しているかを明らかにし、DNA損傷の修復メカニズム解明を目指しています。深海の熱水噴出孔に生息する超好熱微生物のDNA修復酵素や蛋白質分解酵素についても、工業的利用を目指して研究しています。未研究の超微小微生物や抗生物質産生菌も探索しています。遺伝子は場所と時期を選んで発現し、タンパク質が作られます。個々の細胞に含まれる遺伝情報を担うDNAは使い捨てではなく傷ついたら修復される唯一の生体高分子です。DNAや酵素の機能構造が明らかになれば、それを医療分野に応用したり、生体関連物質の工業的生産に有効利用したりすることが可能になります。身の回りの土壌にいる未培養・未解明の超微小微生物や極限環境(温泉、深海)に生きる生物、さらに私たち人間自身も一生物として未だ神秘のベールに包まれています。一緒に生物の神秘の世界を覗いてみましょう。公的研究機関(農業・食品産総研、鉱物資源機構、筑波産総研、科捜研)や企業(山崎パン、ポーラ化粧品、武州製薬,ホクト、アスザックフーズなど)、その他多くの食品関連企業、化粧品製造企業、コンタクトレンズ開発などの医療関連分野、科学学術書出版会社などで活躍しています。志田敏夫教授薬学専攻博士課程修了後、名大化学機器測定センター教務職員、JohnsHopkins大学(USA-MD)博士研究員を歴任。1986年より繊維学部講師、助教授、2005年より大学院助教授、准教授を経て、2009年より現職。核酸科学、タンパク質工学、微生物学。酵素の基質認識機構に今まで考慮されてこなかった酵素・基質複合体形成以前のきわめて初期の酵素の基質認識メカニズムを解明左端:酵素はまだ傷ついたDNAを未発見中央:酵素表面に出ているアミノ酸がDNAの傷(穴)を見つけたところ右端:酵素が傷のあるDNAを直そうとしているところ(穴を見つけたアミノ酸はここでは働いていない。)左図:超好熱古細菌(124℃:生育限界温度)M.kandleriが生息している深海の熱水噴出孔右図:未同定超微小バクテリア(信大繊維農場)研究から広がる未来卒業後の未来像教員紹介応用生物科学科核酸と酵素の機能構造/生体分子間相互作用の解明(微生物のサバイバル戦略)45

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