繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科バイオマス資源の有効利用で持続可能社会の実現を目指す油脂や木材、微細藻類などの様々なバイオマスは光合成により大気中の二酸化炭素を吸収しながら成長します。そのため、バイオマス由来の燃料は燃焼しても大気中の二酸化炭素を増加させず、カーボンニュートラルなエネルギー源として期待されています。しかし、バイオマス資源のエネルギー利用実現のためには、物質やエネルギーの転換技術の高効率化が不可欠です。当研究室では、バイオマス資源を安価なプロセスを用いて高品位な燃料や化学品原料に効率的に転換することを目指し、触媒反応機構の解明や新規触媒の設計に取り組んでいます。化学工学はものづくりの現場で役に立つ実学であり、活躍できる分野は化学、エネルギー、材料、プラントエンジニアリングなど多岐にわたります。当研究室では、化学工学や反応工学の知識の習得はもちろん、その知識をどのように活用するのかを研究を通じて身に着けてもらいたいと考えています。嶋田五百里講師2013年に東京大学大学院新領域創成科学研究科を修了し、博士号(環境学)を取得。日本学術振興会特別研究員、信州大学繊維学部助教を経て、2018年より現職。専門は化学工学、反応工学。バイオマス資源のエネルギー・化学原料利用。触媒反応による効率的な物質転換技術が実用化の鍵となる。触媒反応試験の様子。大きな装置に見えるが、これでも"小型反応試験装置"。研究に必要な実験装置は自分達で作ることも多い。(上)反応に用いる固体触媒。(下)微細藻類が生産した油脂を原料に用いた触媒反応生成物。ガソリン代替燃料として利用できる。再生可能エネルギーであるバイオマス資源を用いたエネルギーシステムの構築により、化石燃料などの枯渇性資源に頼らないクリーンで持続可能なエネルギー社会の構築を目指します。さらには、バイオマスから様々な有用物質への転換手法を構築することで、現在は石油資源から生産されている多くの化学製品の代替も可能となります。輸送用燃料・化学品原料バイオマス資源CO2光合成固定化触媒反応による物質転換教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科マイクロ波を利用した化学マイクロ波を使った新規材料の創成と物性の解明を目指しています。「電波」と言えば地上波のラジオやテレビ、衛星放送、携帯電話、無線LANなど通信用途が主な用途として思い浮かぶと思います。しかし今や、どの家庭にも最低1台はある「電子レンジ」も同じような「電波」を使っていますが、こちらは通信用ではなくて「調理」のための道具です。調理は化学プロセスとしても位置付けることができますので、そこからさらに一歩進めて「化学および化学反応・化学プロセスのための利用法」を模索しています。どのような分野であっても解決すべき課題に向かってプロセス(ものごとの進め方)やシステム(課題の具体的解決法)を積極的に提案できる人になれるはずです。写真説明研究の発端は何でも構いません。何かやってみたいこと、疑問に思うことがあったらまず、その解決策を「自分で考える」ことが大切です。このことが研究を推進する力になります。学生さんには研究室をトレーニングの場としてとらえていただき、ここで考える力を養うことによって将来必要とされる世の中のどんな要求にも的確に応えられるようになるでしょう。上の写真にある研究用マイクロ波発振器を使って無機物質(ここでは炭素を主体とする材料)にマイクロ波を照射すると800℃以上のコンパクトな高温雰囲気場を作り出すことができる。ここにメタンを接触させることで水素への効率的な転化をすることが可能になる。滝沢辰洋助教信州大学繊維学部機能高分子学科卒業。信州大学繊維学部教務員、助手を経て現職。興味のある分野は材料物性全般。43

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