繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科現代の錬金術!?分子設計でつくる新たな高分子材料繊維、プラスチック、ゴム…私たちの日常生活は,高分子材料なしには成立しません。一方で、廃棄されたプラスチックによる海洋汚染や、石油資源の将来的な枯渇など、現代の高分子化学が引き起こした社会問題も存在します。高坂研究室では、原料となる分子から高分子を設計し直し、これらの問題を解決する新しい高分子材料の開発しています。例えば、水中で環境負荷の小さな物質に分解する高分子や、原料を再生する循環型のプラスチックを開発しました。また、従来のポリエステルが高温・真空下で合成されるのに対し、低温・常圧での合成を実現する新しい合成法を発明しました。卒業生全員が大学院修士課程へ進学し、高分子化学・有機化学の研究者・技術者を目指しています。化学・材料関係の企業に就職する学生が大半ですが、さらに博士課程に進学して第一線の研究者を目指す学生もいます。髙坂泰弘准教授1984年東京生まれ。2011年に東京工業大学で博士号を取得し、大阪大学助教を経て2019年から現職。PolymerChemistry誌が選出する世界30人の「新進気鋭の研究者」に名を連ねる、いま注目の若手科学者。稀少アミノ酸を原料にした高分子は,強酸条件・低温で水に溶けるが、ある温度を境に急激に不溶化する不思議な性質を示しました。化粧品や医薬品への応用を視野に研究を進めています。高分子化学は産業と密接に関わっているため、研究室で開発した新物質が、工業製品として実用化されることもあります。研究室では純粋な化学実験を学生とワクワクしながら進める毎日ですが、同時に研究成果をもとにした応用研究を国内外の企業・研究機関と進めています。省エネルギー、循環型のプラスチック生産技術や、pHや温度に応じて性質が変化するインテリジェント材料など、幅広い研究を展開中です。反応開始1時間後24時間後ポリエーテルフェノールフタレイン水中で分解する高分子.白色沈殿のプラスチックが分解すると、原料のフェノールフタレインが再生して赤く呈色する教員紹介小山研究室では、液体で供給したメタノールを気体として透過させる気化調整膜や、メタノールを透過させずに水素イオンを速やかに伝導する電解質膜などの機能性高分子膜の研究と、ナノファイバーの技術を応用したカーボンナノウェブ「CNW」の開発と応用に取り組んでいます。CNWは直径150nmという非常に細い炭素繊維の不織布で、物質拡散性を有するナノ集電層として大変有用な働きをします。これらを組み合わせることで、薄型・軽量でフレキシブルな小型燃料電池が実現可能です。ウェアラブル電源など様々な活用法が期待できます。小山研究室では、小型燃料電池の薄型・軽量化を可能にする材料の開発に取り組んでいます。燃料電池がウェアラブルになれば様々な利用形態が可能です。例えばロボットやパワースーツの電源です。曲面にフィットできるフレキシブル性を活かし、外装を兼ねた電源とすることも可能です。また、バッテリーのように充電のための時間を必要とせず、燃料を充填すればいつでもどこでも再起動できます。工事現場、山林での作業、介護用へと期待は広がります。卒業生の多くは大学院修士課程に進学しています。そして,主な就職先は、化学材料や有機電子材料、電子デバイス関連の企業です。真摯に研究に取り組む姿勢はきちんと評価され、そして将来の自分に力を与えてくれるでしょう。小山俊樹准教授信州大学繊維学部で助手・講師を務めた後、1998年より現職。生体での電子やイオンの働きをヒントに、機能高分子材料やデバイスの開発に係わる物理化学が研究分野。研究から広がる未来卒業後の未来像独自に開発した直径150nmの極細炭素繊維不織布「CNW」電極6セルを直列に一体成形した厚さ約4mmのフレキシブル燃料電池研究室で開発した材料を組み込んだ燃料電池は、その発電特性を評価装置でチェック。その結果を基に、さらなる改良を重ねます化学・材料学科薄くて軽いウェアラブルな燃料電池。ロボットやパワースーツの電源に!39

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