繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介野村研究室では、量子化学に基づいた分子計算を行う事で、実際に実験すること無く、物質の電子的、光学的性質を初めとする様々な性質を調べています。それにより、物質の性質の根源を見つけることができます。例えば、炭素-炭素の二重結合が交互に連なった共役分子において、共役系が長くなるほど吸収スペクトルは長波長側に移動しますが、その理由も明確に説明できます。現在は、主にフラーレンを初めとする炭素を中心とした物質を対象にして研究を行っています。以前は、分子計算の際には、自分でプログラムを組んで、それで計算することが多かったのですが、最近は市販の分子計算ソフトウェアも充実しており、専門家でなくても比較的手軽に計算できるようになりました。そのため、例えば、有機合成をテーマとする論文の中に、反応経路の予測を分子計算で行ったりするものもあります。このようなことがより進めば、効率的な反応を予め計算により調べておくことで、試薬や時間を浪費することなく実験ができるようになると期待されます。卒業後の進路は様々ですが、応用化学課程の他の研究室に比べ、システムエンジニアが多いような感じがします。また、最近では教員や公務員を目指す学生も多く、実際に合格してそちらに進んだ学生もいます。野村泰志教授信州大学繊維学部助手、准教授を経て、2020年から現職。量子化学に基づいた理論化学。最近は、フラーレン等の炭素材料の電子物性や、ある種の有機分子の蛍光やその消光過程についての研究を行っている。計算対象の1つである、カーボンナノチューブ。グラファイトのように6員環がならんでいるあるフラーレンにおける電子分布と関連する分子軌道の図。赤でも青でも大きな所に電子が豊富にある研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ドライラボ:実験を行わない化学コンピュータが道具教員紹介服部研究室では、蛍光性ナノカーボンを合成する研究や、ナノカーボン(カーボンナノチューブ・グラフェン・カーボンナノホーンなど)をエネルギー貯蔵デバイス(リチウム1次電池、リチウム2次電池、スーパーキャパシタ)へ応用する研究を行っています。また、フッ素化学の手法によりナノカーボンの表面化学修飾を行い、電池・キャパシタ用電極の性能向上を目指しています。さらに、カーボンナノホーンをフッ素ガスの貯蔵材料に利用し、フッ素ガス供給デバイス開発につながる研究を行っています。基礎から応用まで、幅広い視野で研究を展開しています。リチウム2次電池やスーパーキャパシタは、電気自動車の駆動用電源に利用されようとしています。蛍光性のナノカーボンは、次世代のバイオイメージング材料などへの応用が期待されています。フッ素ガスは、環境にやさしく、省エネルギーの半導体用クリーニングガスとして実用化が強く望まれています。ナノカーボンを通じて環境・省エネ技術に貢献し、日本の命運を握るサイエンスを自ら切り開きませんか?研究室に所属する学生の多くが、大学院へ進学します。化学系企業、特にカーボン材料、電気化学、フッ素化学に関係する企業への就職が多いです。教員や公務員を目指す人もいます。服部義之教授千葉大学理学部産学官連携研究員、信州大学繊維学部講師などを経て現職。カーボン科学と無機フッ素化学の基礎研究。ナノカーボンを電極材料および吸着材料へ応用する研究。光るナノカーボン。蛍光性ナノカーボンの合成に成功した。イメージング材料などへの利用が期待されるポーラスカーボンナノシートの合成に成功。キャパシタや高出力リチウムイオン2次電池用電極として期待される研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ナノカーボンから新たな発光材料やエネルギー貯蔵材料を開発する35

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